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《第百七十九話》『性欲を持て余すby呉葉』
「さて、こうして旅館で腰を落ち着けることができたわけだが」
「早速温泉行く?」
「それ程にまで、この部屋で桃色真っ赤な絡みをしたいと言うのならばそれもよいが」
「違うよ! 大浴場!」
「ふむ、とりあえず温泉に行くのも確かに悪くはない。が、妾とて着いて早速――とも思うわけだ」
「確かに、いきなり別行動と言うのはね――」
「だいたい、入っていられるのも限度があるしな。妾は大丈夫だが、身体は普通の人間である夜貴ではのぼせてしまう。そこでだ」
そう言って、呉葉は旅行バッグの中から地図を取り出してきた。
「この近くに、ハイキングコースなるモノがある。まずはそちらへと出向き、汗を流そうではないか」
「無料でぇ、ハイキングシューズをぉ~、お貸しできます、よぉ~……?」
「うわぁ!? 女将さんいたの!?」
「ふむ、では言葉に甘えよう。時に女将」
「はぁい、なんでしょぅ~……?」
「一目が丁度良くしのげて、こう野生へと立ち返った本能に赴くまま交わえる場所はないか?」
「なんで今日はそんなに桃色真っ赤な絡み思考なんだよ!?」




