表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
鬼嫁! 呉葉さん!  作者: /黒
第六章
172/1022

《第百七十一話》『ぶつかれる相手』

「――アレは、何をしてるんでしょう?」


 なんだかんだ気にはなる、と言う呉葉やディア先輩に連れられ、僕達は物陰から狼山先輩を見守っていた。

 ――が、その狼山先輩は逆さまになったまま宙づりにされていた。


「ゆ、遊――?」

「…………」

「遊さん? おーい? 遊さーん――?」

「――――――――――――――――――――――――――――――サンドバッグ、の刑」

「――は? ほぶぅ!?」


「夜貴よ、アレが女の気持ちに鈍感な男の末路だ」

「えっ、なんでここで僕に振るの?」

「命拾いした、と言うことだ。ワケのわからない幽霊なんぞに自分のバレンタインチョコを渡されて怒らない女が、居ないはずがあるまい」

「えっ? あー、ああ、そう言うことだったのか――。って、それで僕に真っ先に言う理由にはならないんじゃ。チョコの意味は理解してるし……」

「――まあ、あの娘が怒っているのはそれだけじゃないんだけど」


 ディア先輩は、ボコボコ殴られる狼山先輩を見て「うわ、あのストレートはエグイ」とか呟き、続きを紡ぐ。


「遊にとっては、狼山は家族――いや、それ以上のかけがえのない存在なのさ。何もかも失い、身体まで弄ばれ得体の知れない存在にされた。そんな中、同僚はかかわりがあっても自身は何の特殊な力も持っていないあいつが、躊躇なく手を伸ばしたんだ」

「――えっと、その、つまり?」

「ああして、遊やじゃれて甘えてるのさ。安心したよ、それ程深い傷にはなっていないみたいだ」

「僕には、すさまじく怒っているように見えるんですけど?」


 あ、見事な飛び膝蹴り。


「――ああやって、本気でぶつかれるのも、信頼の証さ」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ