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鬼嫁! 呉葉さん!  作者: /黒
第六章
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《第百六十八話》『こう見えてもそこそこ長いんだ』

「転勤?」


 同僚から、俺が近々地方の別の事務所へ移動するであろう、と言うことを聞いた。

 別に、そう言うことは珍しくない。今現在は本部に席を置いている身であるが、その前はまた別の地方にいた。じきに、正式な通達も来るだろう。


「――と言うワケだ、しばらくお別れだな、遊」

「――!!」


 転勤する、と言うのは仕方のないことだ。この国を、そして何も知らぬ人々を守るために、常にいろんな場所を見て回らねばならないのだから。


「お、おい、遊――?」


 だが、遊は俺の腰に手をまわすと、そのまま鳩尾に顔をこすりつけてくる。その様子はまるで、どこへも行かせないようにしているみたいだ。

 そう言えば、常日頃から離れたがらなかったな。だけど、別にそんなに嘆くようなことはない。


「別に、今生の別れになるわけじゃないぜ? そりゃあ、時間は格段に減るだろうけど、ちょくちょく様子を見に来るくらいはしてや――」

「――! ……っ! ――っっ!!」


 しかし、遊は俺から離れようとはしなかった。言えば言うほど、そのか細い腕は俺を強く抱きしめてきた。

 だが――、


「――あのな、遊。よく聞いてくれ」

「――?」

「俺だって、お前を連れて言ってやりたいとは思っている。けど、そうはいかねぇんだ」


 どうしても、彼女を連れて行くことは出来なかった。なぜならば――、


「これから俺が転勤するところは、裏社会にいる中でも特にヤバいヤツが牛耳ってるところなんだ。いつ何時襲撃があっても、お前を必ず守れるなんて保証は出来ねぇからな」


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