《第百五十八話》『事務所内殺人事件』
「ぎゃ、ぎゃあああああああああああああああああああああああああああああっっ!!?」
その日の昼下がり。事務室内に、所長――ええっと、名前は忘れたけど、確かに所長の悲鳴が響き渡った。
「い、いったい、いったいどうしたんですか!?」
「あ、あれ、あれ――っ!」
「何だい騒々し――っ!?」
僕らの覗いた先、そのトイレで。狼山先輩が口から泡を噴いて死んでいた――。
「ふむ、これは事件だな」
「わあ呉葉!? いつの間に!?」
「うむ、弁当を忘れていたからな。そんなことより――」
ちらりと、呉葉は狼山先輩へと目線を向ける。
「この死に方、毒を盛られたに違いない」
「いや、この死に方で毒じゃなかったらなんだっていうのさ」
「ううむ、洗剤か?」
「それも毒だとアタシは思うよ呉葉ちん」
「そ、そんなことより、け、警察に――」
「所長、ある意味僕らが似たようなモノじゃないかと思うんですけど」
でも、毒って――いったい誰が?
「普通で考えれば、この場にいない遊が怪し――」
「遊ならいるよ」
「どこにだ?」
「あそこ」
「――ん?」
何やら大きな袋を背負った遊ちゃんは、事務所の机の上でお弁当を食べていた。
「ああっ!? 妾が夜貴に届けにきたお弁当がァ!?」




