表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
鬼嫁! 呉葉さん!  作者: /黒
第六章
158/1022

《第百五十七話》『日常に隠れる不穏の闇』

「ほら、コーハイ」

「えっ、なんですか?」


 あまり行う事務仕事もなく、かといって妖怪騒ぎがあるでもなく。そんなちょっと退屈な事務所の午前中。ディア先輩が綺麗にラッピングされた箱を差し出してきた。


「何言ってんだよ、バレンタインのチョコに決まってるじゃないか。まあ、いわゆる社交辞令と言うか、様式美と言うか、そんな感じのヤツだけどな」

「――でも、今日15日ですよ?」

「アタシが呉葉ちんより先に渡すわけにはいかないからな~。貰ったんだろ?」

「はい。フルーツの香りのするチョコでしたよ」

「おお、呉葉ちんも意外とシャレたことするじゃないか」


 ディア先輩は、これでいてそう言う気づかいができるところもある。大抵は、自由奔放でこっちが振り回されるんだけどね。


「ちなみに、どんなチョコですかこれ?」

「ん? ウォッカボンボン?」

「ウォッカ!? ウイスキーじゃないんですか!? 僕未成年ですけど!?」

「商品分類上は酒類じゃないから大丈夫さ! 呉葉ちんと一緒に食べるといい」


 な、なんだか大丈夫なんだろうかコレ? お酒には詳しくないけど、相当度数高いんじゃ――。


「あ、そうだ。遊も皆にチョコ配ってるみたいだから、後で受け取って――っと、噂をすれば」

「…………」

「あ、遊ちゃん? えっ、僕に?」


 目の前に来た、サンタのように大きな袋を背負った彼女が取り出したのは、これまたきれいにラッピングされたチョコレートの箱だった。ピンクの紙に、赤いリボン。お店で買ったモノかもしれないけど、やっぱり誰かからこういうモノが貰えると言うのは嬉しいものだ。


 ――だけど、僕はこの時気が付くべきだった。彼女がいて、しかし相棒である、狼山先輩の姿が朝から見えないことに。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ