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鬼嫁! 呉葉さん!  作者: /黒
第五章
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《第百四十四話》『滅びの石の、その在りか』

「――で、殺生石は結局どこにあるのさ?」


 藍妃を近所の公園のベンチまで運んだあとで、僕は呉葉に聞く。彼女曰くドジとはいえ、九尾の狐が見つけられないからと早々に出向いてきたのだ。どんな場所に隠したのか、純粋に気になった。


「ナイショだぞ?」


 と、呉葉は口元へ指をやって秘め事を示すポーズ。そうしてから、もう一方の腕を伸ばし、その指先でピッと空間に線を入れた。


「殺生石は、ここにしまってある」


 それは、呉葉が作りだした疑似世界だった。


「なるほどね――そこなら、誰にも見つけられない、か」

「この空間は妾が完全に支配しているからな。妾自身が開かぬ限り、干渉することは不可能なのだ」

「つまり、ほぼ絶対に安全なんだね?」

「――妾自身は、母の遺体とも言うべきコレを返してやりたいのだがな。だが、あやつは昔と同じく怨みの塊のまま。そんな奴に、この妖力の塊とも言うべき殺生石は渡せん」

「お母さんを裏切られた人間の怨み、か――」


「ボクがおもうに、きっとわからなくなってるのさ」


「そう言えばイヴ、お主思いっきり言葉で鳴狐の奴を圧倒しておったな」

「きしんはどうにも、ちからがたりないようだったからね」

「ずぅ~ん――……」

「こ、これ、イヴ!」

「――あのきつねは、きっとつよくおもいつづけているうちに、そのこんげんすらもあいまいになりかけてるのさ。キミも、そういうけいけんはないかい?」


 僕はそう問われるが、今一ピンと来なかった。だけど、呉葉だけは思いたることがあるようで、僕や零坐さんのような沈黙とはまた異なっていた。


「――どちらにせよ、奴が活動を始めたことで、警戒を強めておく必要がある。決して油断するでないぞ」


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