《第百四十二話》『最終言語兵器』
「き、貴様――っ、人間の分際で、この余を説得しようなど……ッ」
「べつにボクは、せっとくしようともいいまかそうともしていないよ。ただじゅんすいに、ぎもんにおもっただけさ」
その幼女にして物怖じしない様子に、誰もが固まっていた。それだけ、イヴちゃんの発言は堂々として怖いモノ知らずな振る舞いだった。
「まず、なぜキミはキミのいうにんげんのあいのむじゅんをしてきしておきながら、じしんもそれをりようして、じぶんのかんがえをゆうせんするというむじゅんにいたったのだね?」
「べ、別に、余は矛盾など――」
「くわえて、どうようのようすからみてずぼしのようだが、なぜそれをしてきされぬままことがおえられるとおもっていたのかね? それとも、それもキミのけいかくのうちかね?」
「だ、だから、余は――」
「というか、いかにもさんざんドジってここまできた、というようなボロボロかげんなのに、どうしてそのあしでここにこようとおもったのかね?」
「ぜ、善は急げというし――」
「ボクがみているかぎり、キミのこうどうははたんしまくっているとおもうのだが、」
「う――よ、余は……」
「ボクはふしぎでならないよ。これは、どういういみかね?」
「う、うがあああああああああああああああああああああああああああああああっっ!!」
舌ったらずでビミョーに聞きとりづらい言葉で、しかし相反する妙に理知的な言葉責めの嵐。九尾の狐は、頭を押さえて叫ぶと、
「も、もう我慢ならぬ! こうなればこの場の何もかも、全てを焼き尽くしてくれるのじゃァ!」
「しりめつれつすぎないかい? でんせつのようこのこどものわりに、しょうしょうあたまのまわりがわるいようにおもえるが、これもさくせんかい?」
「ふぐぅっ!?」
喉を詰まらせたような悲鳴を上げて、その場に倒れてしまった。




