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《第百三十六話》『余計な手出しは無用』
「とりあえず、アイツが悪いヤツだってことは分かったわ!」
そう言うと、藍妃はどこからともなく出したバカでかいロケットランチャーを九尾の狐へと向けた。
「ほう? その大砲で余と勝負するつもりかのう?」
「おい、そのセリフは割と最近聞き覚えがあるぞ――!」
「退魔術式を組みこんだ爆薬よ。いかに大妖怪と言えど、ただじゃすまないわ」
少し離れた位置に立つ九尾の狐へと、ロケット弾が発射される。推進力を持った爆弾は、直撃した相手を完膚なきまでに粉砕する威力を持つ。
――だが、
「所詮、人間の力よな」
「んな――っ!?」
九尾の狐は、その弾丸を横からいともたやすく捕まえた。
「ほうれ、お返しじゃ」
「――っ!?」
「全く、安直な攻撃は危険だぞ?」
「――っ!」
そうして投げ返されたロケット弾。呉葉は同じようにして捕まえ止めた。しばらくして弾を推進させる燃料が切れ、ただの榴弾も同然となる。
「さて、仕切り直しと行こう。互いに外野に手を出すのはナシにして、一対一のタイマンだ。当然、受けてくれるよな? 九尾の狐、藤原 鳴狐――!」




