《第百二十四話》『思わずしてしまうこと』
「シュールストレミングにラフレシア、あとそうだな――スカンクを飼ってみようとして止められたことがある」
「当たり前じゃないですか止めるに決まってますよどうしてあなた様は毎度毎度そう言うワケのわからないことを――!」
「なんで臭いモノ系ばっかりなんだろう――」
その三つだけを取り上げても、やたら臭うモノばかりだ。しかも、相当に悪臭が漂う。そんなモノをあの屋敷に封印して、呉葉はどうしようというのだろうか?
「分かっておらんな。それが好奇心と言う奴だろう」
「好奇心――?」
「ほら、こんな経験はないか? 夏場の蒸れた足の裏を、見ると無性に怖いモノ嗅ぎたさで臭いを嗅いでみたくなる――」
「なんかもういろんなアレがあるから自重して!」
こんなに見目麗しい呉葉に、若干どころではない不潔感漂う行為をされるのは、正直イメージを壊す恐れがある。
「むぅ、おなごなぞ意外とそんなもんだぞ? 妙な幻想は持つべきではない」
「いや、僕はいいんだ、僕は。ただ――」
僕はちらりと、横目で零坐さんを見た。
「――とりあえず、信奉していた部下の前では、そんなぶっちゃけ話やめてあげようよ」
「におい、におい――臭い、におい……」
そこには、自分の靴下を脱いで臭いを嗅ぎ始める壮年の男の姿があった。
「う、うむ、次から自重しよう――妾の意志=臭いフェチだと思われるのは、流石に自分でもどうかと思った」




