《第百二十一》『25年放置=爆発物処理班+専門家』
「鳴狐様ー! 鳴狐様ー! 封印の結界を見つけましたで候!」
「うむ、よくやったのじゃ侍渺茫」
一番の部下の声を聞き、速足でそちらへ向かう。侍渺茫が見つけたそれは、台所の端に存在する、はめ込み式の床板である。
ここは、狂鬼姫の奴が潜む屋敷だ。余らは、そこに殺生石が封印されていると聞き、こうして出向いた。しかし――、
「なにゆえ、誰もおらぬのでしょう?」
うむ。余もそう思っておった。
ここには、狂鬼姫が住んでいる――そのはずだった。それゆえに、戦争するつもりでここへと足を踏み入れたのだが。
――最近まで生活していた気配があるのに、狂鬼姫どころか雑魚一匹すらいないではないか!
「引っ越したのでしょうか?」
「殺生石を忘れていたとあれば、とんでもないうっかりじゃが? ――まあよい、封印を解こう」
封印は大して強くなかった。否、余の力が強すぎただけかもしれない。何せ、かなり厳重な封印を施してはいるもののちょっと力を込めれば、それこそガラス瓶を叩き割るかのごとく破壊できた。
そうして、余は待ちきれずに床の蓋を開ける――、
「さて、とうとうご対面――ふぐあァァッッ!!?!?」
「ぶふぅォォッッ!!?!?」
開けるなり、この世のモノとは思えぬトンデモ恐ろしい悪臭が広がった。




