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《第百十七話》『よすぎる耳も考え物』
それは、僕と呉葉がお昼にお雑煮を食べているときだった。
ピンポピンポピンポピンポピンポーン
「何事!?」
インターホンの激しい連打が、僕らの昼食の邪魔をした。けたたましい押し方をされると、チャイム音でも恐ろしく思えるモノだ。
「全く、昼間っからやかましいな」
「僕、出てみるね。――はい」
通話のための受話器を取り、外にいる相手へと話しかける。
『じぃじが、ちっさいのを呼んでる』
「え?」
『…………』
「――イヴちゃん?」
たった一言発せられただけで、呼び鈴を押した相手はそれ以上何も語ろうとしなかった。――おそらく、それで充分だと思ったためだろう。
――しかし、
「零坐さんが呼んでるって、いきなりどうし――どうしたの呉葉!?」
「い、いま、思いっきりハートを抉られた――」
「地獄耳で自分が地獄に落ちてどうするの!?」




