表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
鬼嫁! 呉葉さん!  作者: /黒
第五章
114/1022

《第百十三話》『孫馬鹿、戦慄す』

「ほれ、挨拶しなさい。我らが鬼神、呉葉様だぞ」


 そう挨拶を促される、零坐さんの孫娘。日本人とは異なる長い金髪をサイドテールにした、天使のような愛らしさのある女の子。彼女は仏頂面というわけでもない無表情で呉葉を見上げている。


「むぅ、すみませぬ呉葉様。孫娘はどうにも、呉葉様への礼儀も分かっておらぬようで――」

「ははっ、よいよい。それはともかく、綺麗な髪の色だな」

「我が息子が、異邦人と結ばれまして――全くあやつは、何を考えておるのやら」

「ふふっ、その割には、言葉の一つ一つに妾の見たことが無い甘さがにじみ出ておるようだが?」


 呉葉の言う通り、孫娘に対する態度の端々に、零坐さんの甘さがにじみ出ているように思えた。彼はどちらかと言うと、体罰を持って躾けるタイプに見える。しかし、この短い間でも、そのでれでれ具合が分かるくらいには頬が緩んでいるし、視線も優しい。


「――きみが、そふのつかえていたという『きょうきき』かね?」

「うむ、その通りだ。――脚色が入りすぎていなければな」

「ふむ――」


 目線を合わせるように屈む呉葉にほほえましさを感じながら、僕は変わった喋り方をする子だなと思っていた。


 ――次の瞬間、事件が起こる。


「ちっさ」


 零坐さんの血の気が、さーっと引くという変化が面白恐ろしかった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ