《第百十二話》『謹賀新年!』
「いくぞ夜貴! 新年!」
「明けまして!」
「「おめでとうございます!」」
「…………」
「――ふぅ」
「いや、『ふぅ』じゃないよ!? 第百十一話の終わりからこれっておかしくない!? 零坐さんの孫娘はどうなったの!?」
「――嫌な、事件だったな」
「あの後何が起こったんだよ!?」
「具体的には、右ストレートが炸裂した。あとクーデター。心臓麻痺」
「なんか滅茶苦茶物騒なんですけど!? ――じゃなくて、どうしていきなり元旦?」
「大人の事情だ」
「どうせ、元旦の挨拶をすっかり忘れてて慌ててねじ込んだとかそんなオチだよね?」
「どうして言った!? 言わなければワンチャンバレなかったものを!」
「言わなくてもバレてるよ! そもそも、第百話で包み隠さずがいいって、呉葉言ってたじゃないか!?」
「お前は臨機応変という言葉を知らんのかァ!」
「いいワケの方向性がもはや汚い政治家だよ!?」
「ハァ――ハァ……」
「ハァ、ハァ――フゥ……」
「――年が明けて早々、こんなことで揉めてどうするというのだ」
「喧嘩と言う喧嘩は無いけど、こう言う言いあいは割としょっちゅうあるよね」
「これが、コミュニケーションというモノなのだ。むしろ、これくらいが丁度いいし、妾とてなんだかんだ楽しいからな」
「呉葉――」
「夜貴はどうだ? 楽しくはないか?」
「ふふっ、楽しくなきゃ、こうやって一緒にいないよ」
「当然だな。――さて、そろそろ、締めの挨拶と行こうか」
「うん、そうしよっか」
「では行くぞ。どうそ、」
「今年も!」
「「よろしくお願いします!」」




