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鬼嫁! 呉葉さん!  作者: /黒
第五章
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《第百十一話》『悲劇の始まり』

「お、おまっ――零坐、何故貴様がここに……ッ!?」

「何故って、隣に引っ越してきたからに決まっているではありませんか?」


 初老の男性は、しれっとした様子でそう答える。しかし、呉葉は絶対に納得しないだろう。


「どうして貴様が来たのか、分かっているぞ! どうせ、『狂鬼姫様のため』とかほざいて、色々世話を焼こうとするつもりだろう!」

「ふむ、まあ。強く否定するつもりはございません」

「ほらみろ! 妾は、お前たちしもべへと自由に生きよと言ったのだぞ? それにもかかわらず、また妾に縛られ生きるつもり――」

「お言葉ですが、前ほどべったりとつくつもりはありませんよ『呉葉様』」

「む、むぅ――」


 あの、『狂鬼姫』を信奉し続けた一族の代表者であるあの零坐さんが、呉葉のことを名前で呼んだ。あの、頑なだった零坐さんが、である。


「正直申しまして、我々――と言うよりわたくしが、呉葉様と離れられないことはどうしようもなく否定できません。ですが、呉葉様の危惧するほどべったりとつくつもりは一切ございません。ただ私は、見守りたいのです。あなた様と言う鬼神が、人の世で暮らしていくその姿を」

「そ、そんなに妾は信用がないのか? それなりにきちんとやれているぞ――?」

「ええ、そんな事は分かっておりますとも。さらにもう一つ理由を申しますと――まだ一度も、この子を呉葉様に紹介していなかったなと思いまして」

「この子――?」


 零坐さんが横に退く。すると、そこには小学生になるかなるまいかと言ったほどの、一人の小さな女の子が立っていた。


「孫娘です」

「な、なんだとォ!?」


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