《第百五話》『二つ目のプレゼント』
「おい夜貴、見てみろ! 妾の言った通りであろう!」
「う、うん――そうだね、サンタさん来たね」
包み紙を開けてとても上機嫌な呉葉。その手には、新作のゲームソフトが掲げられている。
「しかも、今年は完全に妾の好みを把握したモノだ。これほどまでに嬉しいことはそうはあるまい」
「いつもは、何だったの?」
「ん、羊羹とか、梅昆布茶とか、酒とか、なんと言うか少々ジジババくさいモノばかりだった。うむ、今年のサンタは優秀だ」
「は、ははは――」
僕は苦笑いしながら適当に返す。何を隠そう、あのプレゼント。当初は僕自身が彼女へと渡してあげるつもりだったモノだ。
僕からと認識してくれていないのは、少々悔しい。だけど、代わりに呉葉が喜んでくれるのであれば、これほどうれしいことは――、
「――で、夜貴。お前からは何かないのか?」
「うっ」
やっぱり、もしかしたらそう来るんじゃないかと思ってたよ! 正直、買いに行く時間がなかったので、物品を用意していないのが正直なところだ。
――そう、物品は。
「むぅ、用意していないのか。まあ、普段クリスマスなど縁はなかったであろうから、仕方無い――」
「あるよ」
「なぬ?」
「ぷ、プレゼントは、プレゼントは――!」
「む?」
「――っ、……ッ!」
「――?」
「僕だっ!」




