EP5 到着と幻獣そして・・・・
仕事が忙しく手が進みませんでした。EP5投稿します。
半日程の道中を経てたどり着いた遺跡の前の小高い丘に僕等は呆然と立っていた。
「な、何・・・・これ?」
馬の上で呟くフローネの唖然とした台詞も無理からぬ事だろう。僕等の前に”居た”のは数多の幻獣の群れであり、それも普段ならお目に掛かる事は絶対に無いと断言できる”白竜”と”ペガサス”だから。
「ほぅ・・・これは壮観だ。まるで絵物語の中にでも入ってしまったかのようだな」
アレスの間の抜けた言葉に突っ込みを入れる気にもならない程に驚くべき光景だ。ペガサスと白竜達が彼方此方で座り込み文字通り羽を休めている。
「在り得ないわよ。こんな街が近い場所にこんな高位の幻獣達がやって来るなんて」
確かにペガサスは空気の清浄な深山や森の奥に、白竜はマナの濃い所謂聖地と呼ばれる様な所にしか棲息しない筈なのに此処に居る。
「どうする?近寄ってみる?と言うかあそこに遺跡が在るから行かなきゃならないんだけど・・・・・?」
僕の問い掛けにフローネとアレスの二人は我に返り、顔を見合わせ頷き合う。それを確認すると僕等は挙動不審気味に遺跡に向かい歩き始めた。
「ふむ。少し警戒されてはいるが、逃げる様子や慌てた様子は無いな」
遺跡の在る草原の内部を歩く僕等だったけどアレスの言う通り、確かに警戒はされているけど特に何かをするでもなく、僕等を目線で追うだけで微塵も逃げる様子は無かった。
「取り敢えず目的の場所に行かない?此処の北東にあるんでしょ?」
「そうだね。僕等は彼等の事を調べに来た訳でも無いから、そうしよう」
フローネの意見に賛同し、僕はバルニガンのノートに記されたスケッチと照らし合わせながら遺跡の中心部から北東に足を進めた。
「この辺りだと思うんだけど・・・・・。あれかな?」
遺跡とも岩とも区別がつかない物を丹念に一つ一つ確認しながら歩く僕等の前にソレは佇んでいた。
「ねぇセリス。これがそうなの?私には苔生した唯の岩にしか見えないんだけど」
「間違いないよ!台座らしき物もあるし・・・・「「それに触れるなヒトの子等よ」」え?」
突然掛けられた声に僕等が慌てて振り返るとそこには一際体躯の大きいペガサスと、立派な角を持ち髭を蓄えた白竜が此方を見詰めていた。
「「それに触れるなヒトの子等よ」」
僕等が唖然としていると、先程と同じ声が頭に響き二頭が静かに歩み寄って来ていた。
「くっ!」
それを見たアレスが腰に差した剣に手をかけながら僕とフローネを庇おうとする。
「我等に敵意は無い。腰の物から手を離せ」
頭に響く声には本当に敵意は無く、二頭は静かに佇みながら僕等を見下ろしていた。その様子にアレスは腰の剣から手を離しながら彼等に問い掛けた。
「何用ですか?天馬と白竜よ」
何時もの時とは声音が違う・・・否、身に纏った雰囲気も何もかもが違う。そんなアレスをペガサスと白竜は意にも返さず、石碑とそれに触れ様としていた僕をジッと見下ろしていた。
「「今日は我等が最も大事とする日。そして汝が触れ様としている物は我等が崇めるべき物。故に今日この日それに触れることは許されぬ」」
「今日この日って事は・・・・明日なら良いんですか?」
僕の質問に二頭が答える前に僕の頭を重い一撃が襲い、僕はその場に倒れこみ地面と口付けをする事になった。
「そんな訳無いでしょ!すみません!この大ボケが馬鹿な事を言って!」
フローネが僕の頭を何度も地面に押し付け、謝る様な仕草をさせる。その様子を呆れた顔で眺めるアレス。何とも間抜けな光景だと思う
「本当にすみま「「構わぬ」」・・・・はい?」
「「構わぬよヒトの子よ。今日と言う日が過ぎればソレは何の意味をも持たぬ。好きにするが良い」」
謝罪を遮り響く声に呆気に取られるフローネと、好奇心をそそられた顔をするアレスを他所に「何とか調査が出来そうだ」と場違いな思いに駆られる僕だった。
次はなるべく早く投稿できるようにします。