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何で居る⁈
声のした方向に目を向ける。
筆箱の中にそれはいた。
昨日、散々なおっさん振りを自分の部屋で晒していたそいつが。
ニヤニヤして。
…ええっと…
目を閉じる。
落ち着け。学校にまで来るわけないだろ。
いや、めっちゃ寝てたろ。
母さんが気づかないのおかしいくらい、いびきかいてただろ。
うん、大丈夫。これ夢だ。また寝てんだ俺。
うわぁ、内申点下がるなぁ。
今年受験なのになぁ…
早く起きよう。
目を開ける。
……
「あの〜とりあえず座ったほうがいいんじゃないですかぁ?」
…。
見事な『… 』を決めてしまった。
え、居るよな。筆箱入ってるよな。
ビバ筆箱だよな。
もう、どうしようもないくらい入っちゃってるよな。
「おぅ、村山。いつまで立ってんだ。座れ」
…とりあえず座ろう。
結局、おっさんを見てすぐに出てくるべき言葉はここになって初めて出てきた。
「…何で居るんだよ」