遅刻しました。
「し、ぬかと…おもった…」
その場に地面に手をつき、へたり込む
まだ膝が笑っている。
おぉ、膝が笑うってこういうことか…
足の制御が効かん…。
ザッザッ
俺の目の前に青の運動靴と黒いジャージが現れた。
つまりは、毎朝校門に立って、遅刻の生徒がいないか見張っている…
数学でおなじみ、平川先生が立っていた。
俺を見下ろす強面が、めちゃくちゃ怪訝な顔になっている。
…ははは。そりゃあ、門飛び越えて空から生徒が降って来たらねぇ…。
いや、改めて考えたら何してんだ俺。
空から降って来ちゃったよ。
「村山…お前…」
不審そうに眉間にしわを寄せてこっちに話し掛ける。
「…今、来たのか…?」
…。
「…え、あ、はい…」
…なるほど。ツッコミ所が多すぎてツッコミきれなかったな。
先生。
それでも他に突っ込むべき所あったろ。
まぁ、こっちとしては無駄に説明が要らなくなりそうなので好都合なのだが。
「…そうか。じゃあ村山 。」
なんとなく眉間の辺りのしわがうすくなり、
「残念ながら遅刻だ。」
そして判決が下された。
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うちの学校の遅刻制裁は、学校内の掃除である。
名前だけで言えば何も問題はなく、どこの学校でも聞くスタンダードな制裁なのだが。
うちの学校では、廊下やトイレ掃除などはしない。代わりに…
「こういう所に来ないといけない訳だ」
うちの学校の掃除は…
校舎裏、及び体育館裏である。
もう一つ言っておくとすれば、今、俺はその体育館裏の方に来ているが…
目の前には髪の毛のカラーバリエーションの豊富な人達が10数人いる。
なんか口からは煙を出し、手にはその煙の原因と思われる白い紙の筒が握られている。
この学校の昼休み後の掃除時間の掃除場所にここは指定されていない。
過去に1年が二人で掃除していたのだが、まあこれが色々あって、今はそこの掃除は何とも鬼畜な遅刻制裁となっている。
そんな不良の聖地に派遣されてきてしまった
訳だ。
取り敢えず、遺書書いとくか。