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小っさいおっさん  作者: はじめの一歩
11/15

I come to school by ’’竹”

「…ところで、今何時?」


流石にずっこけそうになった。

浅黒く焼けた顔はちょっと困ったような笑顔だ。


…本格的にこいつの高校の陸上部が心配だ。改めて鞄に下げた時計を見る。

えっと…7時…ごじゅ…?


時計のアナログ盤に写る数字の羅列は

0と7と5と2だった。つまり…


「7:52⁉︎」


嘘ぉ⁈

しかし時計の文字は何度見ても変わらない。しかも今1分進んでしまった‼︎


「まどか遅刻す…‼︎」


ようやくまどかにこの現状を伝えようとすると、もう隣には居なかった。

遥か前を上りだというのに失速すらせずに猛ダッシュだった。

練習の遅刻は良くても、学校自体の遅刻はダメなのか?そういうものなのか?

…練習サボっても速いのか。


って、そんなこと言ってる場合じゃなかったぁぁあ‼︎


考えてた間も時間ってもんはマジで鬼畜で。

気づけばアナログ盤の数字の右っぱしは9になっていた。つまりは登校完了時刻1分前。


普通の道じゃもう間に合わない!


取り敢えず、昔まどかと遊んでいた時に見つけた竹藪をを猛ダッシュしてみる。

地図的にはここを回っていくより、突っ切った方が格段に早い。

だが、藪で、さらに初夏。虫はいるし、更には蛇が出てもおかしくない。


だが突っ切る。




生い茂る竹達の間から校舎が見えてきた。


が、そこに立ちはだかる百段階段。


「登校完了時刻30秒前です」


抑揚のない放送委員の声がきこえてくる。

急げぇぇええ‼︎


全速力で、走り出したが、すぐに止まらざるを得ない状況が降ってきた。

…⁇


階段の目の前。


竹が。しなった竹が、道を塞いでいた。


天に向くはずだった竹のてっぺんには、落石でもあったのか、大きな岩が乗っかっていた。


Oh….


「登校完了時刻5秒前」


また放送が鳴る。

うん。ムリかな。

潔く廊下の雑巾がけ制裁受けてやろう。


「4」


流石初夏だけあって、かなり汗だくになってしまった。

少し休もうと思い、竹の上の岩によじ登…


ろうと竹に手を掛けた時だった。


『ヒュッ』


…え?

青い空が綺麗に見える。

足の裏の地面の感覚がない。

さっきまで地面のあった向きに顔を向ける。


「3」


放送委員の声。


そして俺の目に、地面は見えなかった。

だだ初夏の日の光を浴びて青々と輝く竹林が広がり、そして自分の下を通過していった。


…状況が理解できた。

正確に言おう。

俺の体が、竹林を飛び越えた。


そして、高度が下がって来るとともに校門が足元に近づいてくる。


「2」

「うぁぁぁぁああぁぁあああぉぁぁあ⁉︎」


『ふわんっ』

妙に柔らかい感触が足に伝わる。そして、触れ慣れた懐かしい地面の感触にすぐにもどった。

……い、生きてる⁈


生まれて初めて、地面の感触のありがたみを知った。



















♪生まれ〜て〜初め〜t((殴

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