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小っさいおっさん  作者: はじめの一歩
10/15

幼馴染

やわらかだった日差しが、少しずつ牙を剥き半袖の人たちが増え出したこの頃。


俺の通う中学も今日から夏服だ。

白いワイシャツに黒のズボンという、どこの学校でも同じようなスタイル。


結局、制服の特色なんて物は女子だけが持っていて、男子の制服なんてどこも同じだ。

実際涼しければどうでもいいと思うので、別に支障があるわけでもないのだが。


そんなことを思いながらスーパーの近くをてくてく歩いていた。

お、今日は卵が安い…


「しーん!」


聞き覚えのある呼び名と声に振り返ると、

タッタッタッっとリズム良い足音を立てながらポニーテールの女子高生が走ってきた。


元気そうに表情を綻ばせて、スカートにもかかわらず大股ダッシュ。


「…まどか⁈ 」


言い終わらないうちに女子高生は俺の隣に追いついた。

登り坂で、結構距離はあったはずなのに…流石現役高校生で、陸上部エースは企画が違う。

まず初夏のこの蒸し暑い日にダッシュしようと言う考えが、俺には理解できない。


並ぶと、悔しいが俺の方が小さくて、姉弟みたいだ。

俺も170近くはあるから、こいつが高1女子の企画からがっつり抜けていると言うことになる。


「しん、久しぶりだねぇっ!」


そう言って歯を見せて笑う幼馴染の額には、うっすら汗が浮いていた。


「久しぶりだけど…まどかは、今日は朝練無いの?」

「あはは、寝坊して遅れちゃったんだわこれが!」


そう言って恥ずかしそうに頭をかくまどか。果たして陸上部のエースがこんなことでいいんだろうか…


でも、その仕草ははす向かいに引越して来たそのときから変わらない物で、最近は疎遠になっていたが、何故か少し安心した。


「って、お前はいつから年上のお姉さんを呼び捨てする立場になったんだ!

前みたいにまどか姉ちゃんって呼びなさいっ!」

「うおぉっ⁉︎」


首に軽く手を回された。

これも小さい頃から変わっていない癖で、でも流石に高校生にまでなってこの癖はやめてほしいと思う。


…決して可愛くない訳では無いのに男っ気がないのは、ここから来てるんだろうなぁ、と、おこがましくも幼馴染の心配を本気でした。






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