卒業写真
音無さん、こんな感じでよろしいでしょうか?
「ねぇ、交換しない?」
唐突に言われた言葉に、僕は聞き返した。
「え…何、を?」
「…何を?」
にっこりと笑う彼女。
悪戯っ子のような微笑みは、僕の背筋を凍らせる。
良からぬことの前兆だから。
「決まってるでしょ」
やっぱり。
帰りたくなって来た。
「制服だよ」
…誰か、助けて下さい。
僕は振り回されっぱなしだ。
この三年間、非の打ち所のない彼女に。
何で彼女は、
こんな僕と付き合ってるんだろう。
こんな、平凡な僕なんかに。
「言わなきゃ分からないの?」
そんな時、決まって彼女はこう言うんだ。
「貴方のそう言う所が、好きなんだよ」
…彼女の言おうとすることは、未だによく分からないけどね。
「隆太郎ー、写真見る?」
と、彼女は問う。
「見ない!!」
僕は即答した。
「どうして? こんなに可愛いのに」
可愛いのは、貴女だけです。
「もしかして、ツーショットが嫌だった?」
滅相もない。
けど、見るのは恥ずかしいんだ。
「綺麗に写ってるよー」
でも、何だか僕は見劣りするだろう。
…見られるはずもない。
完璧なまでに似合っている、彼女の学ラン姿と。
不恰好にも程がある、僕のセーラー服姿なんて。
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