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【完結】あなたを正しく消し去る方法  作者: やきいもほくほく
ー絶望ー

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49/52

④⑨


「も、もしかして初夜や別室のことも…………いや、さすがにそんなわけ……」



そこに二人が関わっているわけがない。

そう思いたくて聞いてみたものの、やはり絶対に違うだろうと言葉を途中で終わらせる。

だけどカーラーから帰ってきたのは予想外の反応だった。



「はい、そうですわ」


「嘘、だろう……?」


「お二人にシュヴァルツ殿下との初夜を拒否するよう言われました。そうしなければここにいられないようにしてやると、そう脅されたのです」


「…………なっ」



シュヴァルツは言葉を失っていた。



「わたくしにも責任があります。あの時は右も左もわからず味方の侍女が一人だけ。お二人に従う他ありませんでした」


「ぁ……」



カーラーは淡々と事実を告げている。



「……っ、どうして帰ってきたボクに相談してくれなかったんだ!」


「相談したところで、わたくしのことを信じてもらえましたでしょうか?」


「そ、れは……っ」



シュヴァルツが絶対にカーラーを信じることはなかっただろう。


(カーラーを公務に連れていくなと言ったのは、ボクが見ていない間に好き放題するためだったのか……?)


二人は心配するふりをして、シュヴァルツからカーラーを遠ざけようとした。

もしかして今までの婚約者候補たちも二人の被害者なのではないだろうか。

だからこそ、今までずっとシュヴァルツの婚約者ができなかった。


(だが、そんなことをして何の意味があるというんだ……?)


裏で嫌がらせを繰り返す二人が何をしたかったのか、シュヴァルツにはまったく理解ができなかった。

そんなことをしても国のためにはならないからだ。


シュヴァルツの口からは無意識に心で思っていたことが口から出ていたようだ。

カーラーがにっこりと笑うように答える。



「楽しかったのではないのですか? 自分たちの思い通りに潰れていく彼女たちを見ていくのは……」


「まさか……そんな…………っ」



カーラーの言うことに納得できなかった。

というよりは納得したくはなかっただけなのかもしれない。

けれど彼女たちの動機を理解しているのもフラーウムやカーラーのような被害者たちではないだろうか。

だからこそフラーウムは二人に軽蔑の眼差しをずっと送っていたのかもしれない。


あの時、母とリリアンを盲信していたシュヴァルツは二人の言うことをすべて鵜呑みにして信じていた。

だけどどう考えたってシュヴァルツは悪くないのではないだろうか?

二人にそう思うように誘導されていた。

愛する家族を疑うようなことをしたくないのは当然ではないだろうか。

けれど今はカーラーに反省している様子を見せなければ許してもらえない。



「すまなかった……彼女たちに騙されていたんだ」


「…………」


「情けない自分が嫌になるよ」



申し訳なさそうに小さく肩を震わせながらシュヴァルツはそう言った。

王太子であるシュヴァルツがこれだけ反省していたら彼女も許す気になるに違いない。

そう思っていたけれど、カーラーは何も言わなかった。

予想外の反応に焦ったシュヴァルツは言い訳を繰り返す。

『本当はカーラーと仲良くなりたいと思っていた』

『まさか二人がボクを裏切るなんて思わなかったんだ』

騙されていたのは自分以外にもいたことや、フラーウムのことに関しても直接的にシュヴァルツは関わっていなかったのだとカーラーに必死に説明していた。



「カーラー、もう一度やり直せないか? 今度こそボクが君を守るよ!」



シュヴァルツが知っている中で女性が喜びそうな言葉を絞り出す。

黙って話しを聞いていたカーラーだったが、空っぽになったカップを置いた。

静寂の中で陶器が微かに擦れる音が聞こえた。



「やり直す? とんでもない」


「…………え?」


「あなたはわたくしを裏切り、欲を発散することに忙しかったでしょう? 穢らわしい手でわたくしに触れないでくださいませ」


「──ッ!」



抑揚のない声でカーラーはそう告げた。

その言葉を聞いた瞬間、カーラーはシュヴァルツがやってきたことを何もかも知っているのだと悟る。

欲を発散といえば高級娼館に行ったことや奴隷オークションに行ったことを指しているのだとすぐに理解できた。


(ど、どうしてカーラーはあのことを知っている? バレていないはずじゃないのか!? もしこのことがバレたらボクの立場は……?)


高級娼館に関わった人物は皆殺しになったはずで情報は漏れていないのではないだろうか。

奴隷オークションだって仮面をつけていた。


先ほどまでカーラーとやり直せるのだと思っていたが、今すぐに彼女を消さなければと思った。

このままでは自分の名誉が危ないのではないかと警鐘を鳴らす。

どうにかして彼女を黙らせなければ……そのことで頭がいっぱいになってしまう。



「それは……その、チェルヴォニに誘われて……っ」


「…………」


「アイツは元々、女遊びが大好きで……久しぶりに誘われてついて行ったら……もちろんボクはやめた方がいいって言ったんだ。流れでそうなってしまったから仕方なかったんだ! カーラー、わかってくれるよなっ?」


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