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【完結】あなたを正しく消し去る方法  作者: やきいもほくほく
ー絶望ー

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44/52

④④

(まさか父にまで色目を使うだなんて……信じられない! ボクがいない間にここまで好き放題するとは)


別室にして欲しいというのも自由に動けなくなるのを恐れてのことかもしれない。

シュヴァルツの頭の中は怒りでいっぱいだった。



「それに噂で聞いたけれど、カーラー様は呪われているんですって」


「……え?」


「シュヴァルツお兄様、あの悪魔のような見た目を見て恐ろしくないの? 黒髪に赤い瞳……わたくしはシュヴァルツお兄様のことが心配だわ」



リリアンはそう言って涙をハンカチで拭っている。



「もう大丈夫だ。あの悪魔から二人を守ってみせるからな」



シュヴァルツの言葉にリリアンと母はホッと胸を撫で下ろしている。

それから「よかったわ」と手を合わせて笑みを浮かべている。

彼女たちの笑顔にシュヴァルツは安心していた。

そして二人を守れるのは自分しかいないのだと思った。


(カーラーめ! 初夜などとんでもない。こっちから願い下げだ)


シュヴァルツは勢いのままカーラーが初夜を拒絶したことを話していく。

すると二人は青ざめていき「信じられないわ」「まさかこんなことって……」と言っている。

そこで二人は気まずそうにあることを教えてくれた。


つまりシュヴァルツとの初夜を拒絶したのは父と関係を持ちたいからではないかと言われてハッとする。

だけど二人が教えてくれた通りに考えると腑に落ちる部分があるような気がした。


(たしかに二人の言う通りだ。カーラーの奴、何を考えているかと思えば……)


シュヴァルツはカーラーへの怒りと苛立ちで頭がいっぱいになっていた。



その日から彼女と顔を合わせて食事をすることも嫌になり、露骨にカーラーを避けるようになっていく。

もちろんカーラーと公務やパーティーなども行かなければならない時もある。

シュヴァルツは彼女を無視して、表向きは触れるが二人きりの時は一緒にいることを拒絶するようになった。

するとカーラーは悪びれもなく、シュヴァルツにあることを告げた。



「わたくしに悪いところがあれば直します。おっしゃってくださいませんか?」


「ふん……ボクを絆そうとしても無駄だぞ?」


「…………どういうことでしょう」



カーラーはリリアンたちに嫌がらせしているという事実を知らないからこのようなことを平気に言えるのだろう。

彼女の化けの皮を剥いでやろうと、シュヴァルツはカーラーを指差してから口を開く。



「ボクはすべてわかっている。お前が二人を虐げていることも知っているんだ」


「そんな……ありえませんわ」



カーラーは俯きながら口を閉じた。

きっと二人を虐げていることがバレてしまい、困惑して何も言えなくなってしまったのだろう。

そのままシュヴァルツはカーラーを遠ざけるようになった。

それなのに何故か腑に落ちない。


(そうだ。チェルヴォニを誘って遊びに行くか)


こうした時にはハメを外すに限る。

チェルヴォニが引き継ぎを終えて落ち着いた頃を見計らい手紙を書く。

シュヴァルツにはなんとなくわかっていたが、彼もかなりストレスがたまっていたようだ。


以前からお気に入りの高級娼館にチェルヴォニと共に足を踏み入れる。

話を聞けば結婚生活は表向きは順調に見えてもあまりうまくはいってないそうだ。

初夜も済ませていないところもシュヴァルツとそっくりだ。

どうやらエリュテイカが子どもっぽく抱く気にはならないらしい。


カーラーはその点問題はなかったが、悪どい本性を知ってしまえばもう抱く気にはなれなかった。


高級娼館に行った数日後、なんとそこに賊か何かが押し入り皆殺しにされてしまったらしい。

運がいいのか悪いのか、シュヴァルツがそこに行っていたことはバレていないようだ。

それにはホッとした。その後も特にこの件を気にすることもなかった。


娼館の件で思ったのはカーラーには申し訳ないが、もう一度初夜をと言われても抱く気にはなれなかった。

そのうち形だけの結婚だと噂されるようになる。

しかしカーラーはそれを払拭しようとしているのだろうか。

それとも城に居づらいだけなのかはわからない。

孤児院の慰問に訪れたり、積極的に国民と交流していた。

親しみやすい王太子妃として街では人気を集めているそうだ。


貴族たちもシュヴァルツから冷遇されているカーラーの様子見といったところか。

どうしてカーラーがシュヴァルツに嫌われているのかは城にいなければ気付けないのだろう。


(こうして周囲の味方を増やしているつもりだろうが、ボクは絶対に騙されないからな)


次第にボロボロになっていくドレスや乱れて軽く整えるだけの髪。

何故か痩せていくカーラーを見て、既視感を覚えた。


(ボクはこの感じを知っている……そうだ。フラーウムがこんな感じだったのではないか?)


まるでフラーウムを見ているようだと思った。

彼女もリリアンに嫌がらせをして虐げていたはずなのに、どんどん惨めになっていく。

侍女は一人ついているが、ここはダルモンテ王国だ。

アーテルム帝国ではないため好き勝手はできないのだろう。


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