青い春
二人の目線です。至らぬところは多いですが、楽しんでいただけたらなと思います。
「体育祭、楽しみだね。」
登校中、そう愚痴ったのは、私の親友の波留だ。
「そうだね。体育祭は楽しみだけど、練習は、大変だな。」
いろんな意味で、大変だ。
私達は、つい一ヶ月前に中学生になった。波留と出会ったのも、そのくらいなのに、もっと前から親友だった気がする。
「ねぇ美菜、碧葉に告った事あるって、本当?」
いきなりこんな話題になるんだものだから、びっくりした。
「な、何で?」
焦ってしまい、逆に聞き返してしまった。べつに、気にすることなんて、ないのに。
私と波留は、同じ碧葉のことが好きだ。お互いにそれはわかっている。
一度落ち着いたら、普通に答えられた。
「あ、ごめん。うん。一応、一度だけあるよ。」
私の言葉を聞いて波留は
「えー。すごいね。してるとは思っていたけど。」
といった。続けて、
「じゃあ、私もしよっかな。告白。」
いたずらに微笑んだ。私はびっくりしたのと同時に、納得した。
きっと最初から告白する気だったんだろう。と。波留のことだ。私に遠慮でもしてたのだろう。でも、やっぱり、複雑だ。波留はかわいくて、運動ができて、なにより、
一度考えるのをやめ、波留にといかける。
「いつするの?告白。」
「うーん。早い方がいいからなあ。今日にでも?」
すごいなあ。といっそ、焦りをわすれて、感心する。
「そっか。あ、応援は、しない。というか、できないからね。」
できるだけ、冗談っぽく言う。
「わかってるって。私だって、美菜のこと、応援できないもん」
波留も、冗談っぽくいう。でも、ちょっとこの空気が、わたしには重かった。ちょうど学校に着いたことをいいことに、
「あ、宿題忘れてた。先教室行ってるね。」
と。嘘を着いて、走って逃げた。
仕方ないと自分に言い聞かせる。だって、私に勝ち目なんて、ほとんどないんだもん。私より、波留の方が、碧葉との距離がちかいから。
「碧葉、好き。だから、付き合って。それと、はちまき交換もしてほしい。」
俺はいま、出会って一ヶ月しかたっていない、友達に告られている。 これから、学級委員の仕事するんだけど?気まずくならない?まあ、波留だから、大丈夫だろうけど。
「波留、ありがと。でも、俺はまだそういうの、考えられないんだよな。はちまき交換も、ごめん。」
断るのは気が引けるけど仕方ない。
「そっか。じゃあ、これからもよろしく。碧葉なら、気まずくなる。なんてこと、ないでしょ?」
俺は苦笑する。
「それ、言うなら波留の方じゃないか?」
ハルは黙って考え込む。
「・・・たしかに?」
真面目に答えてくるから、つい笑ってしまった。気を取り直して、仕事を始める。波留に、資料を渡しながら、ふと思い出した。そういえば、波留と美菜は、仲良かったな、と。いま、美菜はどうしているのだろう。なんだか、無性に気になって仕方がなかった。
夜になっても、気持ちが落ち着かなかった。碧葉がOKしたと考えると、気が気じゃなかったのだ。碧葉と波留は、同じ学級委員ということで、距離が、他の人よりも、ぐっと近い。しかも、今は体育祭がちかいため、普段よりも、一緒にいる時間が長い。不安で不安で、仕方がない。部屋の端で丸まってたら、ブーと、スマホがなった。別の友達からの、メールだ。「やっと、OKくれた。好きな人と、はちまき交換できることになった!」とかいてあった。
いいなあ。心の中で思う。私にも、言える勇気があればなあ。一人でうじうじ悩む。とりあえず、はちまき交換しよ。と、送れるようにはしておこう。とおもい、碧葉とのメール画面を開く。最後にやり取りをしたのは、一ヶ月以上前だった。さみしいなあ。前はもっと頻繁にやりとり、してたのに。ふと思った。見るとも限らないのに、なにを悩んでいるのだろう、一度ふられたからって、それがなんだ。と。考えたが早く、「はちまき交換しない?」と碧葉におくった。自分ながら、唐突だな、と、苦笑する。すると、すぐに既読が着いた。「いいよ」とも送られている。喜ぶよりも先に、碧葉、意味分かってんの?と心配してしまった。でもすぐに、喜びが勝って、笑ってしまう。きっと、意味はわかっていないだろう。一度私を振ってるし。でも、なんとも思ってない人と、はちまき交換しようとする人じゃないことは少なくとも、知っている。今はまだ、私のことを、想ってくれなくたっていい。ぜったい、振り向かせてみせるから。
夜、なんとなく美菜とのメールを開いていた。もう、一ヶ月もやり取りをしていない。なんだか複雑な気持ちになっていると、美菜からメールがきた。はちまき交換しない?とある。波留にも言われたなあ。断ったけど。でも、美菜となら、、、気付いたら、いいよ。と返事をしていた。前なら、ぜったい断っていた。告白だって、断ったし。でも、距離が変わると、考えも少し変わるのかもしれない。はちまき交換の意味は知っている。美菜への気持ちも、前とはなんか違う気がする。でも、はちまき交換だけじゃ表せないような・・・そんな気持ちだ。この気持ちの答えを、今は持ち合わせていない。でも、いつかはわかる。そんな気がした。
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