雪が降る死海、鉄が降るガザ
今日は雪か……、珍しいな、この死海に雪が降るなんて、何年ぶりだろうか。
そうだな、20年ぶりくらいか、20年なんて一瞬に感じる、それほど激動の時代だった。
本当に激動だった、いろいろなものを失ったし、いろいろなものを得た。
苦しいときもあったし、嬉しいときもあった。
この雪の中、また飛行機が飛んでいる、最近は本当に多い、あれは民間の飛行機なのか? 軍事用なのか? できれば民間機であってほしい。
あれが民間機だったら、沢山の人が雲の中から見える死海と、降り注ぐ雪を見ながら楽しんでいるだろう。
もしあれが軍用機だったらそれは戦争に使われるんだろうな、もう戦争は懲り懲りなんだよ、《《あの国》》は何回戦争をするつもりなんだ? アイツラは戦争が好きなのか?
もし、そうだとしたらそれは狂っている、人が殺し合う戦争なんて、ただただ醜いだけなのに。
もしここで空襲警報が鳴るなら、雪の空襲警報であって欲しい、もう戦争なんて本当に懲り懲りなんだよ。
一方、ガザでは
今日は死海で雪が降ったらしい、それが羨ましい、本当に羨ましい、俺らの降っているのは雪ではなく、鉄だと言うのに。
……また空襲警報か、もう慣れたもんだぜ、本当は慣れちゃいけないのに。
毎日、生きていくのすら大変な日々、食料も水も住むところもない。
嗚呼、俺らにも救いの雪が降り注げばいいのに、まあ、降ったって何も変わらないが。
誰かが助けに来てくれたなら、それは本当に嬉しい、俺らのところにも救いの雪が降って欲しい、一度だけでいい、本当に一度だけでいいから雪が降ってほしい。
なぜ、俺らは戦争に巻き込まれているんだろうか、俺達は何もしていないのに。
コレを理不尽と言わずして何が理不尽なのだろうか? 本当に俺達には救いはあるのだろうか?
もし神がいるとするのならば、願いたいことはたった一つだ、戦争を終わらせてほしい、ただそれだけをひたすらに願っている。
ただ、俺は可能性が1パーセントだとしても、あると信じる、いや信じたい。
だって、俺たち一般人は信じることしかできないのだから。
明日、朝起きたときには救いの雪が降っていますように。
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これからもこのような短編を書いていきたいと思っています。