プロトタイプ POL000 7 ENDING
広島市郊外の一角に中山翼の墓がある。
山口県警本部長として赴任を前に中山和彦は本条燕を連れて墓参りに来ていた。
緑が深い墓地の一角に佇む墓石。
5年前に眠るように霊安室で横たわっていた息子の顔が今も鮮明に思い出せる。
中山和彦は両手を合わせて目を閉じると
「翼、こんなダメな父親の俺をお前はそれでも見ていてくれたんだな。ありがとう、それから、すまなかった」
と心で告げた。
「お前にできなかったことをお前の記憶を受け継いだ燕に託していこうと思う。守ってくれ」
燕も両手を合わせて
「俺は君の記憶から誕生した。だからわかる。君がどんな警察官になりたかったのかが……俺はそれを目指そうと思う。君が夢見た君の尊敬する父親の隣で共に立ちながら」
と空き容量の中に書き込んだ。
忘れぬ誓いとして。
翌日、広島駅で新幹線に乗り込もうとしていた二人の元に七滝時也と三見佑介が姿を見せた。
七滝時也は折り紙の鶴を手渡すと
「中山県警本部長、頑張ってください! それから本条、頑張れよ。何かあったら相談しに来いよ!」
と告げた。
三見佑介は本を燕に渡すと
「これが俺からの贈り物だ。警察の心得が書いている。俺が配属された時に課長から最初に貰った本だ。お前に託す。良い警察官になれ」
と告げた。
その本を中山和彦は見ると微笑み
「二人ともありがとう感謝する」
と告げた。
「燕、本と鶴を大切に胸元にしまっておきなさい」
燕は胸元に仕舞い
「ありがとうございます。困ったらすぐ連絡します!」
と敬礼した。
七滝時也と三見佑介は笑って
「「いやいや、直ぐ連絡してくるな。ちょっとは考えろ」」
と突っ込んだ。
中山和彦と燕は座席に座り走り出した新幹線から二人が見えなくなるまで手を振った。
そして、前を見つめるとそこに明るい日差しが降り注ぐ新天地が待っていたのである。