プロトタイプ POL000 4
『広島市内の何処かで午後5時に多くの人が爆発に巻き込まれて死ぬことになります。場所と停止のパスワードを読み解いて止めてあげてください』
それが最初の一文であった。
その下に暗号が書かれていた。
『30(72 8D 57 7E 4A 75 43 59 5B 93 5F ) ―』
『00(52 45 56 45 4E 47 45)』
爆弾が本当ならば人々の避難などやることは多くあった。そのメールの印刷を会議室のテーブルに置いて刑事部捜査一課一係と二係の面々が顔を突き合わせていた。
中山和彦は全員を見回して
「今が13時だ。後4時間以内に場所を特定してパスワードを入れる。勿論、人々の誘導と犯人逮捕もだ」
と告げた。
全員が敬礼した。
中山和彦は20名からの捜査員を見回した。
「いまこのメールが何処から送信されたものかをサイバー犯罪対策課の方で調べてもらっている。それが分かり次第に犯人逮捕に向けて捜査を始めてもらいたい」
それに二係の面々が敬礼をした。
その時、サイバー犯罪対策課の神木洋二が姿を見せた。
「わかったぞ、IPアドレスから横川駅前にあるネットカフェだ」
中山和彦はマップを受け取り
「横川駅前のネットカフェか。よし、二係はネットカフェで防犯カメラを見てメールが送られてきた時間に利用していた人間を当たってくれ。犯人が分かり次第にこっちへ連絡を犯人の思惑を調べる」
と告げた。
全員が「「「「はい!」」」」と答えると飛び出した。
一係の燕と七滝時也と三見佑介と田上君夫と洒井要一が中山和彦を見た。
中山和彦は彼らを見ると
「我々は先ず暗号を解くことだ」
と告げた。
瞬間に燕が紙を手にすると
「これに値する法則の候補としてユニコードがあります。その場合にヒロシマオフィスセンターとrevenge報復となります」
と告げた。
七滝時也は紙を手に
「この数字の羅列がか?」
と聞いた。
燕は頷くと
「恐らく30の後ろのかっこの中の数字の頭に最初の30を付けるとユニコードの4ケタになって一文字目が3072で『ひ』そして二つ目が308Dで『ろ』と全てを変えていくと『ひろしませんた』最後は恐らくそのままハイフンで利用すると思います。改行された下の段も0052で『R』次が0045で『E』となるので同じようにしていくと『REVENGE』です」
と説明した。
田上君夫と洒井要一は驚いて燕を凝視した。
「「まじか」」
中山和彦は息を吐き出すと
「時間は十分ある。取りあえず俺と本条で確認に行く」
と告げた。
「七滝と三見と田上と洒井の4人は外で待機して、本条の考えが間違っていた時のために暗号解読を引き続き頼む」
それに4人は敬礼をした。
中山和彦と燕と七滝時也と三見佑介と田上君夫と洒井要一の6人は広島駅から少し離れた場所にある貸しオフィスビルの広島オフィスセンターへと向かった。
広島オフィスセンターは1号館と2号館があり中山和彦と燕は1号館から2号館と部屋を見て回った。同時に七滝時也と三見佑介と田上君夫と洒井要一の4人がそれぞれの部屋で会議をしていた人々に事情を説明し一時退避してもらうように誘導を行ったのである。
その時、中山和彦に二係のメンバーから連絡が入った。
「防犯カメラから犯人が特定できました。吉田信次という31歳のフリーターです。先ほど吉田信次の実家で母親の話を聞くと6年ほど前にスピード違反で捕まって広島オフィスセンターで行われる面接に間に合わなくて落ちたそうです。それをずっと警察のせいで面接に落ちたと言っていたそうです」
中山和彦はそれを聞くと
「そうか」
と燕を見た。
「本条の解読は合っている可能性が高いな」
そう考えて
「こっちは広島オフィスセンターで爆弾を探している。吉田信次の行方を追ってくれ」
と指示を出して携帯を切った。
そして、警備部へ連絡を入れると爆弾の件を告げて周辺の警備を依頼した。
その後に七滝時也に電話を入れた。
「七滝、恐らくここで合っていると思われる。警備部へ万一の時の為の手配は終わらせている。お前たちは二係から吉田信次の情報を受け取って捜査に合流するように」
七滝時也は「はい」と答えて携帯を切ると他の面々を見た。
「犯人が割れた。吉田信次と言う人物で今二係が追っている。俺たちもそれに合流するようにと言うことだ」
三見佑介は立っていた道をすっと真っ直ぐ見て
「おい、お前が犯人なら」
と告げた。
七滝時也も田上君夫も洒井要一も笑むと頷いた。
七滝時也は二係に顔写真を送ってもらうように言い足を踏み出した。
広島オフィスセンターのある道路から真っ直ぐ見つめる先にある高層商業ビル駅シティへ駆け出していった。
その後、直ぐに機動隊が広島オフィスセンターを取り囲み近隣の人々を対比させた。騒然とした空気が広がっていたが反対に広島オフィスセンターの中は酷く静かであった。
中山和彦と燕は窓から人々が退避したことを確認して捜索を開始した。
1号館にはなかった。
そして2号館の3階の小会議室へ入った時に燕は机の上の紙袋を見て
「あれだ」
と告げ、歩み寄ると
「暗号を入れるので」
と紙袋の中を見てキーボードを押してキーワードを入れた。
瞬間であった。
「キーワードは起爆スイッチだったんだ! 逃げてくれ!」
それに中山和彦は踵を返して逃げようとかけてきた燕を庇うように抱きしめると床に押し付けた。
直後に激しい衝撃が襲い、二人は吹っ飛ぶと壁に叩きつけられた。
窓ガラスは割れ、黒い炎が立ち昇った。
それを駅シティの広島オフィスセンター側の一角にある喫茶店から吉田信次は見ており笑みを浮かべた。
「ざまぁみろ、俺の苦しみを味わえ」
「そもそも、スピード違反をしたお前が問題だったんじゃないのか? 吉田信次」
七滝時也が彼の横に立ち襟首をつかんだ。
吉田信次は驚いて目を見開いた。
「な、何だ!? 俺はそのせいで面接に遅れて落ちたんだ!! 俺の一章を台無しにしたのはお前たちのせいだ!!」
それに三見佑介が手錠を出して
「そうやって自分がスピード違反したことを棚に上げて人のせいにしてきたんだな。だがな、今回のことでお前はお前の一生を潰したんだ。お前は最初からお前自身の手で壊してきたんだ」
と嵌めた。
同じ時、燕は動かない中山和彦を揺すり
「課長……課長? 課長ぉ!!」
と叫んだ。
中山和彦は薄く目を開けると手を伸ばした。
「……翼……つば……」
ああ、思い出した。
お前の表情は翼に似ている。
任務の時に怪我して帰った時に見せた顔にそっくりだ。
……ずっとそうだずっと思い出していた……
「本条、お前が来てから……ずっと息子を思い出していた……ありがとう」
……燕……
燕は目を見開くと
「とう……父さん!! お父さん!!」
と叫び、そのまま目を開けたままバタリと倒れ込んだ。
爆発のあった部屋の廊下へ駆け込んだ機動隊が見つけたのは目を開けたまま動かなくなった燕と血を流して倒れている中山和彦の姿であった。
二人は警察病院に運ばれ中山和彦は緊急手術を受け、燕は東京の警察庁へとヘリコプターで運ばれたのである。
プログラムが無限ループに入り反応が失われたのである。
七滝時也と三見佑介は病院でその話を中山和彦の容態を心配してやってきた県警本部長から聞き言葉を失っていたのである。
その時に二人が燕がPOL000であることを知っているというとPOL000……POL系ロボット警察官の存在意義を聞き驚きに目を見開いていたのである。