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緑鬼王と仕事の終わり


よし、これで雑魚狩りは終わりだ。

残り五体の緑鬼(ゴブリン)を倒した私は中央の大広間へと向かった。


広間には4本の柱と篝火が点在している。

どこかギリシャの神殿のようなモノを感じる。

中央に轢かれたレッドカーペットの先には黄金に輝く王冠と真紅のマントを纏った大柄な緑鬼(ゴブリン)が玉座に鎮座している。

そう、コイツが緑鬼王(ゴブリンキング)だ。

実を言うと緑鬼王(ゴブリンキング)というのは然程強い部類の守護者ではない。

特異空間(ルーム)に入るための鍵の発生量に応じて守護者の強さも変わっていくのだがこいつは上からニ番目の発生量。

つまり弱い部類に入るのだ。


私は動かない王の頭へ一発撃った。

金属の衝突する音が聞こえる。

恐らくは弾が跳ね返されたのだろう。

柱の後ろへ隠れすぐさまリロード。

残り十二発、いけるか。

王の体の所々に付いた金色の金属はシンギュラニウムと呼ばれる物だ。

銃弾を跳ね飛ばす程の頑丈さがある。

倒すには金属の付いていない生身の部分に打ち込む必要がある。

生身の部分、つまり腹の部分に弾を撃ち込んでいけばいい。


王は玉座から立ち上がった。

王の右手の方に魔法陣のようなものが展開され、大きな黄金の戦斧が出てきた。

それを持ち、柱の二本を薙ぎ払った。

大きな雄叫びを上げた。

戦いの始まりを意味しているのだろう。


さて、どう回り込もうか。

今持ってるのは油の入った丸い瓶とリボルバー、そしてグレネード。

一つ作戦は思いついた。

ただ昔見た漫画のアイデアを転用できるかどうか。

まあ試すしか無い。

私は柱と柱の間に油の瓶を投げつけた。

床にドロドロと油が広がる。

そして柱から体を出し、王を誘き寄せる。

地面に油が撒かれていることに気づいていないらしい。

こちらへと猛突進してくる王、私は少し離れたところに避けた。

王の足が油に触れツルンと仰向けに転倒。

頭を打ったのか少しフラフラとしている。

私は王の腹に飛び乗りブーツナイフで腹を切り裂く。

そして腹にグレネードを詰め、ピンを抜き離れた。

柱の後ろに隠れた瞬間


ボン!


と爆発音が聞こえた。

緑鬼王(ゴブリンキング)の体は跡形もなく肉片となって爆散していた。


さて、宝物(アーティファクト)の回収と行こうか。

玉座の裏の宝箱を開く。

中には羊皮紙の巻物が入っていた。

これが今回の宝物(アーティファクト)か。


コツコツコツ…。


靴の音が聞こえる。

足音の量的に複数人だ。

まさかトラップに引っかからなかったのか。

まずいぞ、このままだと捕まってしまう。

一応逃走用の催涙グレネードは用意しているがあまり使いたくはない。

急いで宝物(アーティファクト)をコートの内ポケットに仕舞い込み、走る。


「誰だ!」


青年の声がこちらへと飛んできた。

悪いが返事はしないぞ、時間がないからな。

私は急いで外へと出ていった。

通路に飛び出て走る、だが後ろから足音が聞こえる。

クソッ、追ってきてやがるのか。

やっぱり催涙グレネード使っとかないと駄目だな。

ピンを引き抜き地面へ転がす。

出てきたガスを吸ったのか後ろから叫び声や咳が聞こえてくる。

急ぎゲートを潜る。


はぁ、危なかった。

煙幕に引っかからなかったヤツは久しぶりに見た。

もうちょっと念入りに対策したほうがいいな。

よし、バーに寄って帰ろう。


表のドアを開き、バーへと入る。

陰口じみた声が聞こえる。


「おい、ガス野郎(マッドガッサー)だぞ。」


「今日は何人殺ったんだろうな。」


私は略奪(レイド)の際によく煙幕やら催涙ガスを使う。

そのためガス野郎(マッドガッサー)とかマスクの見た目からハエ野郎とか勝手に名前がつけられている。

そんなに気にはしていない。

では注文といこう。


「トワイスアップ、ストロー付きで。」


「あいよ。」


私は基本的にマスクは外さない。

なのでマスクはいくつか改造してある。

ボイスチェンジャーを取り付けたり、マスクフィルター部分から水分補給できるようにしたりと色々と拘りがあるのだ。

カウンターにストローの刺さったトワイスアップが置かれる。


「お前、マスク取らないのか?」


そう、マスターが問う。


「悪いが外で取るつもりはないんだ。」


「実を言うとよ、お前の素顔で賭けが行われてんだ。」


「は?」


え、私の顔で賭けが行われてるのか。

初耳だぞ、そんなこと。


「おっさん説、女説、顔がない説、色々と説が立てられてんだぞ。」


「ははっ。」


仮面の裏で苦笑いをした。

しかし、仮説の一つは正解だ。

そう、私は女だ。

喋り方が男っぽいのもある。

ボイスチェンジャーのせいでわからないらしいし、髪も結ってパーカーで隠しているからな。

胸は…残念ながら細工しなくても大丈夫な程のフラットさだ。


「まあ、マスクが壊れたら必然的に見せることになってしまうかもしれないけどね。」


「ははっそうか、マスクが壊れるのを楽しみだぜ。」


マスターは笑顔で返事をした。

私は、グラスの下に金を置いて店を去った。















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