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特異空間と略奪者のやり方

初投稿です、よろしくお願いします。


もう朝か。


閉めたカーテンの隙間から差し込む光で私は目覚めた。

ベッド横の時計のアラームを止めて絶句する、いつも通りだ。

ちなみに今は午前七時四十五分、そして仕事は八時に始まる。

十五分で支度をして家を出なければならない。

カロリークッキーをコップ一杯の水で流し込み朝食を終わらせる。

いつも通りの朝食だ。

寝巻を高速で脱ぎ捨て、カーキ色のズボンと黒色のシャツを身に纏う。

そして体にホルスターの付いたベルトを斜めに提げる。

あ、弾込めるの忘れてた。

昨日帰って銃の点検せずに寝てしまったからか、今度から気をつけよう。

手動で弾をシリンダーへ六発込める。

スピードローダーは三つしかないんだ、仕事前に使ってたまるかってんだ。

やばい、あと6分じゃん。

大急ぎでトレンチコートを身に纏いフードを被る。

最後に顔バレ防止の為のガスマスクを着ける。

探索者(サーチャー)なら必要ないが略奪者(レイダー)である私は顔を隠さないと捕まってしまう。

そのため顔を隠す仮面が必要なのだ。

大急ぎで家のドアから飛び出し、民家の屋根に飛び乗り走って仕事場へ行く。

仕事場はとあるバーの裏口だ。

バーは偽装だ、中は探索者(サーチャー)の開いた特異空間(ルーム)へ相乗りするための違法ゲートが複数設置されている。

略奪者(レイダー)は相乗りして先に宝物(アーティファクト)を獲得したり強奪したりする者達だ。

やってることは黒に近いグレーゾーンなのだがなかなか法での規制が難しいので大した話題にはならない。

そして私はそのグレーゾーンで生きる人間ということだ。


バーの裏口へとやってきた。

ドアを三回ノックすると渋い男の声で質問が飛んでくる。


「ご注文は?」


そこに


「ウォッカコリンズ、シロップ多めで。」


と答える。

何故この合言葉にしたのかはよくわからない、みんなは深く考えないようにしているらしい。

この合言葉のせいで毎回酒が飲みたくなる。

あぁ、仕事終わったら酒飲もう…。


部屋に入り、マスターから資料を受け取る。


「今日は緑鬼(ゴブリン)部屋だ。」

「雑魚が十二体、守護者は緑鬼王(ゴブリンキング)だ。」


特異空間(ルーム)には守護者と呼ばれる生命体と取り巻きの雑兵達がランダムに配置されている。

守護者と雑兵の種族はバラバラだ。

騎士のような人間に近い見た目をした者もいるが、今回の緑鬼(ゴブリン)のように明らかにモンスターというような感じの見た目のものもいる。


「確認しました、早速行ってます。」


ゲート前の階段を登り、ゲートへ入場する。

機械音声で時刻がアナウンスされる。


《午前八時七分、第一ゲートの使用を確認しました。》


特異空間(ルーム)へと入場した。

なんか臭いな、まるで糞尿を放置したみたいな臭さだ。

臭いは然程重要ではない。

最初に行うのは通路の形状の把握だ。

洞窟のような自然形成型だと特異空間(ルーム)内の通路の形や向きがランダムになってしまう。

だが今回は違うようだ。

石造りの規則的な通路。

中心にドーム状の大広間がある。

よし、通路の確認は終わった。

次は妨害といこうか。

探索者(サーチャー)達は正面からやってくる。

そのため正面に妨害工作をしておけば進行は遅れる。

今回はワイヤー式の煙幕でも仕掛けておこう。

ワイヤー式はワイヤーを踏んだり引っ張ったりすると発煙弾のピンが抜けるという単純な仕組みの罠だ。

ワイヤー式は初心者に効きやすい罠だ。

ベテランになると効きづらいがそこら辺の物陰やカモフラージュを施しておけば大体の確率で引っかかる。


罠を仕掛け終わったら次は駆除だ。

雑魚十二体を先に駆除しておこう。

緑鬼(ゴブリン)一匹一匹が弱いとはいえ群れればソレは脅威となりうる。

一匹一匹を正確に殺していかなければならない。


前方に七体確認。

一体はこちらに近く背中を見せている。

後ろから喉を掻き切る方がいい。

私は足音を立てないように近づき緑鬼(ゴブリン)の首に刃を触れさせ、横へ力強く動かした。

緑鬼(ゴブリン)の口から水に溺れるような声が聞こえたのを確認し、死体を捨てた。

コートからリボルバーを取り出し近場の緑鬼(ゴブリン)の頭に一発。

続いて近くの緑鬼(ゴブリン)の頭を後ろからつかみ地面へ叩き落とし、体を踏みつけながら頭へ一発。

それを見て激情し、走り向かって来た者に一発。

地面に落ちた手斧を一体に投げつけ頭にヒット。

血が頭から吹き出る。

最後の一体は腰を抜かしているが躊躇なく一発。

恐怖している顔をしていたが私は情けなどかけない。

仕事に私情はなるべく持ち込みたくない主義だからな。

最後に奴らの持ってた槍を七体全員の頭へ刺した。

何かしら原因で生きていたら困る、必ずトドメは刺さなければ。


よし、これで終わりだ。

リボルバーの銃身を折り、飛び出る薬莢。

空いたシリンダーにスピードローダーで弾を六発装填する。

中折式のリボルバーはやっぱり排莢が早い。

埃や泥にも強い。

ここで使うのにもってこいだ。


残り十八発、敵は後六体。

楽勝だ。









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