表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
29/145

4-1.狩人

 目の前の男は、感情が乏しい。貫くように、リーベンスを見つめている。


「我が国による失態、心よりお詫び申し上げます」

 口火を切ったのは、ビエール共和国宰相のヴィリーキィ・シーリウス。

 謝罪のはずが、誠意が感じられない。


「まぁ、今回の件は痛み分けにしましょう。あなたの命令で、兄妹の監視に当たっていた兵士が襲われたのですから」

 ヴィリーキィは、ゆっくりとコーヒーを飲んだ。 


「……そうですね」

 逃亡の事実を伝えるも、宰相がクローネ入りしたのは二日後の昼過ぎ。

 緩慢な動きに、リーベンスは苛立ちを覚えていた。


「それで、妹は死体で発見されたと聞きましたが、兄は見つかりましたか?」

 

「いえ。依然、捜索中とのことです」

 死体でも、何でもいいから連れてこい。と怒鳴り散らしたことを、リーベンスは思い出した。


「すでに他国へ逃げたのでしょう。確か、筆頭警護官も姿を消したそうですな?」


「はい。連れ出したビエール兵の名前を確認したところ、該当する者はいませんでした。協力者がいるようです」


「正面から堂々と逃げるとは。面白い」

 言葉とは裏腹に、ヴィリーキィの目は笑っていない。


「リーベンス殿。全ての権利を奪われたシュッツェには、もう力はないでしょう。放っておいても良いと思いますが、追いますか?」


「もちろん。協力者がいるならば、いずれ牙を向けてくるかと」


「そうですか。生け捕りにしますか?」


「会話ができれば、手足がなくとも構いません」

 リーベンスは、円卓に置いた拳を固めた。


 少しだけ思案したあと、ヴィリーキィは口を開く。


「では『リオート・ヴォルキィ』を動かしましょう」


「まさか、ザミルザーニの……」とリーベンスは、喉を鳴らした。


 リオート・ヴォルキィとはザミルザーニに、かつて存在した特殊部隊の名。

 実態は手段を選ばない暗殺集団。各国から非難を受け解体したはずだった。


「報酬は負担して頂きます。同盟国に払っていた、安全保障の契約金よりは安いでしょう」

 

「えぇ。安全保障をうたい文句に金を貰い、いざクローネが窮地に陥っても何もしない。連中はただの詐欺師です」

 あからさまな揶揄やゆだが、リーベンスは鼻で笑った。


「協力者の素性も調べておきましょう。ビエールをコケにした代償として、一人残らず抹殺します」

 同調する言葉に、ヴィリーキィは満足そうに頷く。


「さて。前置きはこの辺にして──」

 無感情だった目に光が宿る。


「見つかった公女の死体が、本人だと断定された理由をお聞かせ下さい」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ