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スクールアイデンティティ

作者: 宮嶋 健吾

 俺の通う学校の校則にはこうある。


・携帯電話の持ち込み禁止

・下着、靴下、靴は白

・髪型はモヒカンとする


 ここは私立モヒカン学園。


 ここでの生活は俺の全てだった。頭をツンツンにキメこんで、ダチと夜中までつるんで。俺たちのアイデンティティのモヒカンは俺たちの結束を強くした。でも、あいつは行っちまったんだ。親の転勤だ。仕方ない。俺たちの金ピカの日々は真っ二つになっちまった。別れの時、あいつはしくしく泣いていた。遠ざかる背中を見送りながら俺は上を向いて必死に涙を堪えたっけ。

 そんな別れから少し経った頃、隣町であいつを見つけた。あいつは相変わらずのママチャリだったけど、後ろに女の子を乗せてた。俺はバリバリのモヒカンだったが、あいつはパーマをかけて毛先で遊んでいた。俺も毛先で遊んでいるようなものだったが、俺のそれとは明らかに違っていて、楽しそうにその女の子と話してた。俺はただ遠くから眺めることしか出来なかった。でもよ、友達じゃなくなるとかではない。ただなんとなく寂しかったんだ。俺は明日もモヒカン学園へ行く。ガチガチに固めたモヒカン頭でな。

 

 そんな俺も今ではスーツを着て不動産屋で働いている。笑顔で接客してるんだ。かつて俺がモヒカン頭だったことは誰も知らない。

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