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「え?」
僕がその意味を理解できずにいたとき、境内に「きゃああぁぁああ!!」と女性の叫び声が響き渡った。直後に男性の怒号と叫び声が聞こえ辺りが騒々しくなっていく。それと同時にポケットのスマートフォンがけたたましく鳴り出した。
これは、何が起きて……。
逃げ惑う人々。燃え盛る屋台。響く声。死に際の叫び。
それら全て現実のものとは思えない。言い換えれば地獄だ。
「そうだ、サエコ。サエコ、どこだ!」
いつの間にか姿が見えなくなっていた彼女を呼ぶ。だが、返事が返ってくる様子はない。
混乱する僕に、巫女さんは飛びきりの笑顔で話した。
「願いは叶いますよ。ふふ、お正月ですしね」
僕はまだ気付けていなかったのだ。
果てしない幸せと不幸せのループは、まだ始まったばかりだということに。
「さて、あなたは最後まで生き残れるでしょうか?」
【おわり】