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3-2

思えば彼女に告白されたのもこんな寒い日だった。ちょうど一ヶ月前だ。学校から帰ろうとしたとき、いきなり僕の目の前へ現れて「そのコートの中に私も入れてもらえませんか」と声をかけてきた。仕方なく無理矢理にコートを広げて入れてやったもののしっかり収まるはずなどなく、震えながら二人で歩いていたのだがそこでなぜか突然「付き合ってください」と言われ、戸惑いはしたが、ちょっとかわいいからという理由だけで僕はオーケーした。実際にスタイルは悪くないし、顔はかわいい。短めのポニーテールはけっこう好みだし、緑のチェック柄のマフラーを選ぶというセンスも嫌いじゃない。


神社へ近付くにつれ、道には人が見られるようになってきた。夫婦で来る人たち、親子連れ、そして僕らのような恋人同士など様々な人たちが神社を目指して歩いていく。その姿は様々であれど、皆一様に幸せそうに笑っていた。


「私ね、思うんだけど」


「え、なに?」


「幸せって、運がいいとか悪いとかじゃないと思うのよ。何が幸せなのか気付ける人が幸せなんじゃないのかなって」


僕は若干ためて返事をする。


「んー、なんとなくわかるよ、そうだね、それなら僕は間違いなく幸せ者だよ。だってサエコの隣にいることが一番幸せだってわかってるから」


そう言うとサエコは頬を染めて微笑み、勢いよく僕の腕にしがみついてきた。ああ、こういうの悪くないな、心の底からそう思う。


「幸せだけどさー、これで死んでもいいとは思わないよね」


「あ、うん。死んじゃったら幸せわからなくなっちゃうからね」


きゃっきゃ言いながら続けるサエコ。かわいい。


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