2-9
走った。走った。いつの間にか流れていた涙も気にせず、僕は叫びながら目に入るものを全て壊して突き進む。
かかと落としで脳天をかち割り、ショットガンをぶん回して内蔵ごと腹を破壊。取ってあった短銃を全部投げつけ、それごとショットガンで爆破。何体ものゾンビが吹き飛んだ。
「童貞が悪いんじゃない! イケメンが悪いんだ!」
ありとあらゆる臓物を撒き散らせ、ありとあらゆる身体パーツを粉々に砕いていった。
「童貞なめるなぁぁああぁぁああぁぁーッ!」
もはや童貞に恐いものはない。一気に突き進み、ついに屋上へと辿り着いた。
風が吹く。既に夜は明けていて、シャトルに朝日が当たっていた。眩しい光に照らされる人類の希望。しかし。
「え、まじで?」
それは全てが終わり無に帰すことを暗示するかのごとく、中程からポキッと折れ、真っ二つになってしまっていた。
僕の手から瓶がこぼれ、床に落ちて割れた。
あは。はは。ははははははは。
間抜けた笑いが無意識のうちに込み上げてくる。見れば破壊されたシャトルの回りには何体ものゾンビがうごめいていた。ああ、こいつらはどこまでも鬱陶しい。朝の光の清々しさが黒く汚されるほどに憎い。
死ね。