風邪をひきまして
あれれー、おかしいぞ?体温計が38.5度を指している。
(風邪ひいた!?)
確かにボーっとするし、喉痛いし、これ風邪だ。
あのトラックのせいで濡れたまま返って、あったまらずにシャワーで済ましたからか。
「とりあえず、今日は学校休んで、土曜と日曜、安静にしてれば治るだろ」
と、学校に休みの連絡を入れた。
ピンポーン
家で安静にしてた快斗は、宅配便か何かだと思い、玄関のドアを開けた。
「こんにちは」
「おう。どうした?」
「いや、学校の手紙を届けに、、ちょっと、どうしたの?体調が悪そうだけど」
「いや、ちょっと熱が出てるだけだ。」
「熱って、あ、まさか私に傘を貸したときに、」
「あー、なんだ。そう。転んだんだ、その時、うん。」
「嘘だよね。私に傘を貸したのはいいけど、二本なかったってこと?」
「そうともいう的な、」
「はぁー、その、善意で貸してくれたのはわかるんだけど、自分が風邪ひいたら元も子もないでしょ」
「はい、そのとおりです」
正論だった。いくら善意でとはいえ、向こうが変に気を遣ってしまう。今度からは、自己管理ちゃんとしよ。
「もう、食欲は?ご飯は何か食べた?」
「いや、なにも食べてないから食欲はあるけど、冷蔵庫に栄養補助食品のゼリーが入ってる」
「あんた、ばかなの?食欲あるなら、ちゃんとしたの食べなさい。」
「いや、俺料理できないし、」
「梅干しは食べられる?」
「は?」
「梅干しは食べられるか聞いたの!!」
「あ、うん。」
「わかったわ、少し待ってて」
そう言って、キッチンへ向かった沙希。俺はその背中を、ただ見つめることしかできなかった。
「できたわよ!」
「ん、これはなんですかね七瀬さん?」
「え、見た通りお粥よ。」
「お粥?七瀬が作ったの?俺に?」
「他に誰がいるのよ。梅干し入れちゃったからね」
「いや、だってあの七瀬が俺のために手料理をつくるなんて、」
「手料理って、、というかあくまでお詫びだから!!」
「わかってるけどさー、七瀬が作ってくれるなんて、」
「うるさい!!食べないなら私が食べちゃうよ」
「あー、食べます食べます食べさせてください。」
「わかったわよ。」
そうして、お粥を一口、
「う、うめーー!」
「たかがお粥よ!?」
「うん!でもすっげぇ美味いよ!」
「そ、そう。あ、ありが、とう」
そうして、どんどん食べ進めて行き、
「あーおいしかった」
「そりゃどうも」
「料理上手いんだな!」
「そうですか?お粥ぐらい、誰でも変わんないでしょう?それじゃ、ここにスポーツドリンクと濡れたタオル置いておきますね」
そういって、沙希は手早く必要なものを準備して自分の家へと帰っていった。