4話 帰る家と美少女
放課後、いつもどおり一人で帰路についた。学校から、マンションまでそこまで距離がないため歩いて通っている。
「あ、あのさ」
思考が一瞬停止する。
急に後ろから声を掛けられた。思い当たる人物は1人しかいないが、この道は大通りのわき道に入っていて、正面に快斗の住むマンションがあるだけだ。
「ん、なんだ?」
と返すと、少し不服そうな顔でこちらを見ている美少女、七瀬 紗季がいた。
「もしかして、あなたが住んでいるマンションってここ?」
言葉には疑問はもちろん、そうでないでくれという絶望の混じった願望が感じ取れた。俺はそれに、
「そうだが、なにか?」
と言葉を放った。別に嫌われているわけではないと思うので、なにも問題はないと思うが、
「なにかじゃないわよ。なんで同じマンションに住んでるの?ストーカー?」
「いや、そもそも君に会う前からここに住んでたし」
「あっそ、もういいわ。あまり親しくしないでね。それと登校時間はずらして。同じマンションに住んでるなんて学校の人たちには知られたくないわ」
「わかった、けど、俺嫌われてる?なにか悪いことしたなら謝るけど、」
「別にきらっているわけではないわ。ただ私は、完璧な私でいるって決めたの。だから、その、あの時のことは忘れて振舞ってるの。だから、いっちゃ悪いけど貴方みたいな陰キャと同じマンションで仲良くしてるのが学校の人たちに見られたら困るの」
「あ、はい」
最近、自分でも陰キャではないかと自覚しつつある快斗にとって、「貴方みたいな陰キャ」というか言葉は軽く登校拒否にさせるほどの威力はあった。
「ただ、きらっているわけじゃないからね。学校でも別に全く話しかけないとかはしなくてもいいから」
「わかった。あくまで他人。それ以上でもそれ以下でもない存在で居続けるよ」
「そうしてもらえると助かる。ありがとう」
「別に、感謝されるほどのことでもない。人として普通のことをしているだけだ」
とだけ返し、エレベーターで自分の向かう回を押そうとしたところで、またもや思考が停止した。
「「え、」」
2人とも唖然とする。
「あ、貴方も2回なの?」
「え、うん」
「嘘でしょ、ちなみに部屋は?私は204号室」
「俺、205号室、」
「嫌な予感はしてたけど、まさか隣とはね、」
「まったくだ。なんだこの典型的なラブコメ展開は」
「やめてくれる?貴方、河川敷では相談に乗ってくれる面白い人って認識だったけど、今は、同じマンションに住んでる、陰気キャのクラスメイトって認識だから、恋愛とかありえない!」
「わかってはいるが、そこまではっきり言われると、堪えるなー」
「だってそうでしょー。もう帰る!」
そう言って、彼女は自分の部屋の隣の部屋に入っていった。
(いや、マジで隣なのかよ)
快斗は心臓から、先ほどの言葉が突き刺さったからなのか、ドクドクと脈を感じていた。
この前、頑張っていきたいと思いますって言いましたが、小説家になりたいわけではなく、ただ楽しく書きたいので、下手内容でも楽しんでもらえたら、光栄です!