友達
「「友達」」
それは、学校生活において一緒に楽しんだり、協力し合うもの。
「友達ができない」
なぜか、もう入学式から1ヶ月が経とうとしているのに一人も友達ができなかった。
(何故だ、別に目つきが悪いわけでもなければ俯いて陰キャ陰キャしているわけでもない。なんで友達ができないーーーー)
あー、また今日も終わる。トモダチ、なにそれおいしいの?どうやったら入手できるの?誰か教えて。誰でもいいから、妖怪を友達認定するようなよくわからない小学生でもだれでもいいから。
そんなこんなで、今日も一人で家に帰る。
(河川敷よってこーかな?)
俺は春の風が一番好きだし、もうすぐ5月。ジメジメしてくる頃だ。今のうちに堪能しておこう。
「やっぱ、気持ちーな。太陽があるのに涼しくて、とても清々しい」
と独り言を発していると、
「確かにそれはわかる。それにこの風、なんかさっぱりしてて新しい感じがする」
「新世界って感じ?」と付け足しながら少女は淡い笑みを浮かべた。
たしか、前にも河川敷で会ったことがある。
「君は?」
「私?ま、謎だらけな美少女ってことで」
「自分で美少女って言うのね。ま、否定はしない、普通に可愛いと思う。」
「あはは、そっかそれはありがとう」
「別に事実だし。でも自分に自信持ちすぎるのもあまりよくないよ。世の中には謙遜って言葉があるくらいだ」
「ふふ、君は面白いね」
彼女は「そうだ」と一つ置いて
「良かったら聞いてくれない?私の話」
俺はそれに黙って頷いた。
「私さ、いじめられてたんだ。ほら、私って可愛いから」
「そうですねーはいはい」
「もう、適当だなー。でさ、友達もいなかったんだ。」
「俺は現在進行形でいないけどな」
「はは、私と一緒だね。でも君は楽しそうだよ。その時の私は学校が何のためにあるかわからなくなったの。勉強して必要な知識をつけるって言うのはわかるけど、辛い思いして長い時間行く必要があるのかってね」
彼女は表情では笑っていたが、心が全く笑えていなかった。
「それであるとき、先生に相談したの。でも、みんなで先生に都合がいいように言ってたから、結局はいじめられる方にも悪いところはあるってさ」
「それは一理あるが、さすがに教師として、、、」
「でも、いいの。私が悪いなら直せば解決だと思ったから。先生を信じて私は変わった。誰にでも平等に、優しく接して、勉強も運動も頑張った」
「でもね、結果は「急にいい子ぶりしだした」とか「あざとー」とか批判ばっか」
「ひどいな、頑張って変わったのに、」
「だから、私は決めたんだ。高校生になったら誰も私を知らない場所で完璧な私で居続けるって、」
「でも、いざ入学式するとさ、怖くなっちゃって、学校行くの」
「そうか、でもあまり気にするな。人生案外どうにかなる。それに君は美少女だ。あまり異性を可愛いと思わない俺が言ってるいる誇れ。そして活かせ」
「君は優しいね。ありがとう、ちょっとだけ元気出たよ。学校も行ってみようと思う」
「それは、よかった。頑張れよ!いろいろと」
「うん、ありがとね!」
最後にそう言って笑った彼女は、快斗が今までで一番綺麗だと思う笑顔を浮かべていた。
「じゃあな」
「またな」とは言わなかった。彼女とはただの他人で、これっきりだとおもったから。
「じゃあね」
彼女も「またね」とは言わなかった。同じ様な心境だろう。
最後に俺は
「またいつか、会えたら会おう美少女よ」
と大きく手を振って帰路を辿った。
はやくも2話書きました。楽しいですね!見ていただけると幸いです!