1話 ある朝
俺はある日ゾンビになった。
でもまあ、生きていこうと思う。
(ノリの軽い作品です)
(最近、太陽の光がやけに眩しく感じるようになった。)
そう思ったのは、ゾンビとなった今から2週間ほど前の事である。
はじめは不規則な生活リズムや食生活が祟っただけかと思っていたが、日に日に増す頭痛は誤魔化せず、ついに診察の予約をした矢先の朝方。
尋常じゃない肌寒さと悪寒に堪らず叩き起こされた俺は、自分の肌が普段以上に青ざめている事に気付いた。
仰天した俺はすぐさま救急車を呼ぼうと思ったが、寝る前プレイしていたソシャゲを起動したまま寝落ちした為にスマホの充電が切れているアホな自業自得に気付く。
なれば、と固定電話を取りに部屋を出ようとした瞬間、全身の筋肉が萎えたかのように力が抜け、俺はその場に倒れた。
いやいや、このままでは死ぬかも。起き上がることも出来ないってどんだけだ。
どれだけ力を振り絞って起き上がろうとしても、何故だか身体が言うことをきかない。
声を出そうと喉を絞ったつもりでも、声が出ない。
否、死ぬ。
冗談じゃない。
俺は直感する。これは手遅れなヤツだ。
脳梗塞か、くも膜下か・・・直接の心当たりは無いが、そういうケースもあると聞く。
兎も角俺は死ぬのだ。
ここまで育てて貰って、学校にもろくに通わず、何とも親不孝な人生だった・・・。
意識がなくなる最後の瞬間・・・俺はやっぱり寝る前ソシャゲをしていた事を恨んだ・・・
「涅斗、涅斗!?大丈夫?涅斗!!」
慌てた母の呼び声に、俺ははっとして目を覚ます。
何でも中々俺が起きないので起こしに来てみたら、俺が自室で倒れていたらしい。
(俺は生きてるのか・・・?)
気付けば全身の肌色が、元の普通の青白さに戻っている。
全身の震えも無い。何だか頭がボーッとするが・・・
まるで、さっきまでの苦痛が嘘のようだ。
「兎に角あんた、まずは病院に行きなさい。」
俺は母に連れられ、朝一に病院へ向かい診療を受けた。
そのとき、医師の口から放たれた一言が、俺の人生を大きく変えることとなるとも特に考えずに。
主人公:安 涅斗
名付けの理由~良い名前が浮かばなかった~