第8話「出会いと再会」
「出会いと再会」
「おーい!起きろ陵!そろそろ起きるのじゃ!」
誰だ?あぁ日向か、、、せっかく気持ちよく眠ってんのに
「うるさいなぁ〜,あと五分だけ寝かしてくれ」
-ブチン-
エデンの額に青筋が立つ
「ええーい、ささっと起きか!」
全然起きない陵に腹を立てたエデンは指先から小さな火の玉を背中に放った
「うぁ、あっつ!」
突然、背中に熱を感じて飛び起きる陵。すると目の前にはエデンが立っていた。
「なんでエデンがここにいるんだよ!それに何しやがった?」
背中をさすりながら聞くと
「全然起きんからこれで起こしたのじゃ!」
指先から火を出しながらエデンが言う
「もっと優しく起こせよ!」
「全然起きないお主が悪い!」
「なんだと!それでも流石に火はダメだろ!火は!」
「声をかけても揺すっても起きないお主が悪い!」
エデンのやろう謝る気ねぇな、しょうがないここは俺が折れてやるしかねぇな
「はいはい、わかったよ。で、なんでここにいるんだ?ていうかよく俺のいる場所がわかったな」
「お主の居場所なぞワシぐらいになれば簡単にわかるわ。それでここに来た理由じゃが、昨日、お主の妹の日向と秋がこの世界に来たことを伝えておこうと思ってな」
「…は?」
……?日向と秋がこの世界に?寝起きに突然爆弾発言されても全然理解できねぇ…
「よし、伝えたぞ。ワシはやる事があるからもう行くぞ」
「はー!?ちょっと待てよ!もっと詳しく説明しろ!日向と秋がこの世界に来てるってどういうことだよ!」
用事は済んだとささっといこうとするエデンを必死で止めて、日向と秋のことを聞こうとする。
「言ったまんまじゃ、日向と秋もこの世界に来た」
「そんな…それで!日向と秋はどこにいるんだ?!あいつらは無事なのか!?」
「あぁ、無事じゃぞ、アレステアという国に転移しておるし安全は確保されとると思ってよいぞ」
「そうか…それは良かった」
多分、あいつらがこの世界に来たのは俺のせいだ。無事で良かった。俺のせいであいつらに何かあったら、、、
「ていうか何がワシが考えたドラゴンじゃから大丈夫だ。クッソ弱いじゃねぇか」
「そんなわけあるか!ワシが考えた最強のドラゴンじゃぞ!その名もエデン……けど不完全じゃしのぅ。ベリヤドラゴンとでも名付けようかのぅ」
「そんな名前なんかどうでも良いんだよ!」
「どうでも良いことあるか!名前と言うのはな」
「名前じゃウサギに勝てねぇんだよ!」
「ドラゴンなんじゃから火を吹くとか……そのぅ、なんじゃ。ドラゴンパワーとかで…」
「ぅなもんできるかー!」
「よし、忙しいからワシはそろそろ行くぞ」
「そんな急いでどこに行くんだよ」
エデンの野郎逃げようとしてやがんな
「空間の歪みが起きないようにしに行く」
まるでコンビニ行くというように軽く答える。
「そんなこともできんのか?」
「なぁに、わしにかかればちょちょいのちょいじゃ!」
そう答えたエデンの笑顔にはどこか不安のようなものが混じっていた
「なぁ、何しようとしてるんだ?俺になんか手伝える事とかないのか?」
「そんな大した事じゃないから手伝いなんぞいらん」
「そ、そうか」
「じゃあな、陵。また気が向いたら来る」
陵に背を向けながら手を振るエデンには、まるでこれから戦場に向かう兵士のような気迫が宿っていた
「あぁ、絶対に来いよ。まだまだ文句がいっぱいあるからな」
そして、最初に出会った時のようにエデンは一瞬で姿を消したのであった。
火つけられて起こされるわ。日向達もこの世界に来てるやら。
「人生って何が起こるかわからないって改めて実感するな、、」
あれ?けど今はドラゴンだからもう人生は終わってんのか?てことはドラゴン生?
そんなどんでもいい事を考えていると
「誰かいるの?」
洞穴の入り口から少女の声が響いてきた
やべぇ、人が来た。見つかったら殺されちまう。
突然の訪問に陵が洞穴の奥で慌てふためいていると
足音がどんどんこちらに近づいてくる。
そして、陵の姿を足音の主が目に捉えると、ビクビクと怯えた様子で
「ドラゴン?、、」
静かにそう呟いたのであった。