第5話「陵のいない世界」
「陵のいない世界」
〜陵のいた世界〜
陵が空間の歪みに吸い込まれてから数時間後、陵とは幼い頃からの仲である堂本 秋は話し相手である陵がいないので雨音を聞きながら暇を持て余していた。
「はぁー、陵のやつまた寝坊しやがったな」
昨日も寝坊してきて狭山先生に怒られたのに。
2日連続だと居残り掃除か反省文だな
多分、面白い漫画見つけたとか言ってたからそれ見て夜更かしでもしたんだろ
まぁ、もう少ししたら来るだろ…
「もう昼休みだぞ?なんかあったのか?」
寝坊にしては遅すぎるし連絡も取れないし陵のやつなんかあったのか…よく考えれば昨日寝坊したから今日は陵が寝坊しそうになったら日向が起こすはずだし
「とりあえず日向に聞いてみるか」
日向ならなんか知ってるだろ、日向のクラスに行くか
たしか…1年3組だったな
「鈴華ちゃん、日向どこにいる?」
教室を見回しても日向の姿が見えないから日向の友達の鈴華ちゃんに聞いてみた
「秋先輩!えっと、、日向ちゃんなら今日休んでますよ?」
「そうなんだ…なんで休んでるか知ってる?」
「知りません、日向ちゃんにメールしても返事来なくて既読にもならないし、ちょっと心配になってきて。あの〜お兄さんは何か言ってませんでしたか?」
「実は陵も連絡取れなくてさ、それで日向に聞こうと思ったんだけど…」
「そうなんですか。兄さんも…何かあったのかな?」
「とりあえず放課後にでも陵の家に行ってみるよ」
そうして、鈴華ちゃんに話を聞いた後に自分のクラスに帰る途中に階段を駆け上がってくる日向が目に入った。
「おい日向、陵は」
「どいて!秋!」
何があったのか聞こうとしたら邪魔だと言わんばかりにそう叫びながら俺を押し退けてさらに上の階へと向かう日向
「おい、日向!ちょっと待てよ」
何がなんだかわからないがとりあえず俺も日向の後を追いかけた
バタン
屋上のドアが勢い良く開いた音が聞こえた、雨の中なんで屋上なんかにと思いながら、屋上に出てみると
驚いた事に日向が屋上の柵に足をかけていた
「やめろ日向!落ちたらどうする気だ!?」
まずいと思い、俺は全速力で日向に近づき手を握った
「離して!秋、アレが消えちゃう」
鬼気迫った顔でそう訴えかけてくる日向
「アレってなんだよ!?」
そう問いかけながら日向の見ている方を向くと異様な何が見えた。
「なんなんだ?、これ、」
「朝、お兄ちゃんがアレに触ったら突然いなくなったの、」
「あれに陵が?どういうことだ?日向。ちゃんと説明してくれ」
日向が飛び降りようとしていたことと目の前にある異様な物、それと陵がどう考えても繋がらない
「そんな時間無いの、アレが消えたら、もう、もうお兄ちゃんに二度と会えないかもしれないの。だから、だから」
頭の中がごちゃごちゃしているのは変わらないが一つだけわかった事がある。
「止めないで!秋」
「バカ、別に止めねぇよ」
「え?」
「何変な声出してんだよ。アレが消えたら陵に会えなくなるんだろ?。なら」
「行くぞ」
そう言いながら屋上の柵に足をかけ、日向と一緒に空間の歪みに向かって飛んでいた。
次回第6話「まさかの異世界」