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異能戦線 −宝石の四戦士編−  作者: 青色蛍光ペン
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7 五色の異能力

「この声は…!」


隼人はその声を聞くだけで分かった。五色だ。実際、振り向いて見るとそこに立っていたのは五色だ。ぶかぶかの上着を着て、余裕そうな表情でこちら一帯を見つめている。


「ま、言葉一つで退いてくれるなら黒崎クンも苦労してないだろうけど」


そう言いながら、ポケットからライターと丸い玉を取り出し、玉から出ている導火線に火を点ける。


「爆弾…? いや、あれは…」


隼人にはそれが何なのか分かった。煙だけがひたすら出てくる花火の一種だ。だが、煙を出すとは言っても、この広い駐車場の中では知れている。


「そんなおもちゃで何やろうってんだ?」


挑発的な金髪の青年だが、次の瞬間、その余裕そうな顔すら見えなくなる。一瞬にして視界がゼロになった。どこを見ても煙、煙、煙。


「馬鹿な…、あれはおもちゃだのはずだ!」


どこからか黒いコートの男の声がするが、その距離感すら掴めない。どうするべきか慌てていると、突然ガシッと腕を掴まれる。見つかったか、と背筋が凍りつく。だが、耳元で囁かれた言葉に、その心配は杞憂に終わった。


「とにかくここを出るよ。出口の方向は分かってるから、早く手に捕まって!」


どんなトリックを使ったのかは分からないが、とにかくこれが五色の仕業であることには間違いない。こくこくと頷き、五色について行く。駐車場出ると、途端に煙が薄くなる。


「こんな目くらまし、少しの時間を稼げたら上等だよ。ほら、早く帰るよ」


「お、おう。分かった」


確かに五色の言う事は本当だ。もし態勢を立て直せても、4対2では部が悪すぎる。ここはとにかく撤退である。腹を押さえながら、廊下を歩く。一応早歩きではあるが、流石に遅い。ひとまずカプセルのある大部屋にたどり着くと、五色が提案してくる。


「キミのこと担いで運ぶよ」


「いや、いいって。別に歩ける」


「担いだ方が早いでしょ?」


「俺より身長低いお前が俺背負える訳ねぇだろ。


「でもやっぱり担ぐ方が…」


「やはりここに来たか」


話しながら歩いていると、そこに現れたのは黒いコートの男。こちらの姿を見るなり、大剣を構える。


「おい、これはまずいぞ…」


その姿を見て、思わず五色に声をかける。そもそもこの黒コートの男は強い。それを、ダメージを受けている隼人と戦闘向きでは無い五色二人で相手できる訳がない。だが、「大丈夫」と一言呟くと、五色はその黒いコートの男の前に立ちはだかる。


「お前、何をするつもりだ…!」


「何って、もちろん戦うんだよ」


そう言いながらポケットに手を突っ込むと、そこから出て来たのはよく見る形のハサミ。


「そんな武器で俺に勝てると思っているのか?」


「ああ、もちろん勝てるよ」


得意げに返事し、ハサミを構える。その時、信じられない出来事が起こった。ハサミが巨大化して、まるで長刀のように変化したのだ。あまりにも一瞬の出来事すぎて呆気に囚われていたが、それは黒いコートの男も同じらしい。


「お前、なんだその異能力は」


「人に質問する時は、まずそっちの名前でも名乗った後にした方がいい」


「…俺は蒼神影人あおがみ えいとだ」


「そう。ボクは五色彗。『ごしょく』と書いて『ごしき』。異能力は『武器変創アイテムトランスフォーム』。日用品やおもちゃでも、ボクの手にかかれば武器に早変わりだ。欠点は、能力名の長さかな」


「…成る程、さっきの煙玉もその能力か」


日用品が武器になる。今ここでこれ程頼りになる能力があるだろうか。これならいけるかもしれない、と援護に出ようとするが、五色に手で制される。


「大丈夫。ボク一人で十分」


「随分と余裕だか、それも今だけだっ!」


蒼神と名乗った男は、大剣を構えると真っ直ぐに走りこんでくる。手元のスイッチを操作し、大剣に付いているブースターの威力を増幅させる。そしてそのまま五色の真上からそれを振り下ろす。だが、五色はそれをさらりと避けると、巨大化したハサミを突き出す。それをとっさに大剣の腹で受け止め、もう一振り。だが、五色はそれをいなし、ポケットに手を突っ込んでまた道具を取り出す。


「…ライター?」


遠目から見た感じ、五色が取り出したのはコンビニなどで普通に売っているライターだ。しかし、その口を蒼神に向けてスイッチを押すと、火炎放射並みの威力の炎が放射される。


「ちっ…、厄介な能力だ!」


ブースターを使った攻撃は速いが、仮にも大剣を持って動き回っているのだ。反撃する隙も見られず、炎から逃げ回る。すぐにその攻撃は止まり、中身が空になったライターを捨て、再びハサミを構える五色。その姿を見て、驚きを隠せない隼人。


「あいつ、めちゃくちゃ強いじゃねぇか…」


実際、五色は強い。力は無くとも、多彩な道具でトリッキーに立ち回る。力押しが得意な蒼神には苦手な相手だ。だが、蒼神だって無作為に攻め込む訳ではない。ひたすらにハサミの隙を突いて背後に回り込もうと試みる。


「背後は取らせないよ…!」


背後に回られれば、五色が振り向く間もない内に加速させた大剣の刃で真っ二つだ。それを許すわけには行かないのだ。だが、大剣を上から下に振り終えた蒼神に対してハサミを突き出したその時、蒼神の姿が消えた。実際には消えたのでは無く、大剣を振り下ろすのと同時に、身を捻って前転。ハサミの切っ先を回避するのと同時に、起き上がった場所は五色の真後ろ。


「…やはり、戦闘慣れしているのは俺たちの方みたいだったな」


そして、容赦なく大剣を振り上げ、ブースターを起動する。


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