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異能戦線 −宝石の四戦士編−  作者: 青色蛍光ペン
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5 七色ではない男

「…はぁ…」


教室の一番窓側の前から三番目の席。そこが隼人の席だ。そこで頬杖をついてため息を漏らす隼人。無理もない。あれから施設中を探し回ったが、白咲の姿はおろか、コードδ以外の人の姿が無かった。


「…どうしたもんかなぁ」


白咲が行方不明になったと言う話はクラスの中でもかなりの話題となっており、仲が良かったと言う理由で何度も話を聞かれた。だが、まさか異能力が継承されたなんて言えないし、言ったとしても信じてはもらえなさそうだ。「はぁ」と再びため息をつき、思考を再開する。あの施設で分かった事は、能力継承実験の片方が脳死状態になる、そしてもう片方は脳死状態になった側の異能力を手に入れる、この方法で手に入れた能力は重複できる、この三つだ。さらに、この実験で隼人は白咲の持っていた能力を手に入れ、コードδがそれを狙っていた。幸いあの一撃でコードδは倒せたが、次またあのパラレルとか言う組織の誰に何されるのか分かったものじゃない。


「そろそろ帰るか」


気づけば時計は午後六時近くを指している。教室のみんなが帰ってからもボーッと考えていたが、ここまで時間が経っていたとは。少ない荷物をまとめ、鞄を持って立ち上がったその時である。


「ねぇ、黒崎君」


「なっ…!」


突然かけられた声にびっくりしてとっさに後ろを向くが、そこに立っていたのは見知らぬ生徒。手が袖に隠れてしまうほどにぶかぶかの上着を着ており、前髪が辛うじて目にかからない程の長さの茶髪。そして眠たそうな表情(多分これが通常通りなのだろうが)。上履きの色から判断するに同学年だが、見たこともない。別のクラスの人間だろうか。


「あー、別に警戒しなくていいよ。黒崎隼人君」


「…なぜ俺の名前を?」


「知っているか? 答えは簡単だよ。いつも授業中寝てる黒崎隼人の名前は割とどのクラスでも有名さ。おまけに、黒崎隼人は今行方不明になってる白咲天音と特に仲が良かった最重要関係者だ」


「だが、顔と名前が一致するのは話どう説明をつける気だ」


「それも簡単。休み時間にこの教室の前を通る時、君は質問責めに合っていた。それもここ最近ずっと。そして今そんなに浮かない顔してたら同一人物だと一発で分かる」


「…凄い観察眼だな。で、何の用だ?」


「まずは名前でも聞きなよ。ボクは五色彗ごしき けい。『ごしょく』と書いて『ごしき』。彗って漢字は…、まぁいいか」


「やけにマイペースだが、五色。お前も俺に質問か?」


「いや、別に質問は無いよ。ちょっと、手を貸せればな、と思ってさ」


「なんだ、あいつらの注意でも逸らしてくれるのか?」


「別に隠さなくても良いよ。ボクもキミと同じ異能力者なんだから」


「なっ…!?」


驚く事に、この眠たそうな五色彗と名乗る青年は異能力者らしい。だが、もっと驚く事に、五色は隼人が異能力者だと知っている。


「…どこでそれを?」


「ボクの情報網は結構凄いんだから、甘く見ない方がいい」


「答えになって無いぞ」


「言ったじゃん。ボクの情報網を駆使すれば、キミがつい最近異能力者になったと言う事なんか簡単に知れる」


情報収集系の異能力か? そんなもの聞いたことも無いが。だが、むやみやたらに人を巻き込んでいい問題では無い。戦闘系の異能力者でなければ尚更だ。隼人が出す答えはもちろん決まっている。


「いや、やっぱ大丈夫だ。お前が何をどこまで知ってるのかは知らないが、これは俺の問題だ」

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