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異能戦線 −宝石の四戦士編−  作者: 青色蛍光ペン
3/19

3 とある研究施設にて

あの衝撃的な事件から三日が経った。とは言え衝撃を受けたのは隼人一人なのだが。そんな衝撃を受けたにもかかわらず、今日も六限目を熟睡する隼人の耳に微かにチャイムの音が入ってくる。どうやら六限目が終わったらしい。さて、後は帰るだけである。立ち上がろうとした矢先、三日前と同じように腕を掴まれる。振り返ると、やはり三日前と同じように白咲が真剣な表情でこちらを見ていた。


「ねぇ、話があるの」


「…なんだ、またはぐらかすんじゃないんだろうな?」


「うっ…、そんなことしないもん!」


「わかったわかった、ほら、早く言えよ」


「…うん」


一体何を言われるのだろうか。この緊張感。まさか告白? 告白なのか? いや、そんなはずない。こんないい奴はもっとチャラチャラした外見だけイケメンな男を選ぶ。そもそも恋は罪なのだ。金がかかる、自分の時間が無くなる、敵を増やす。ここまでのリスクを払いながら恋人を作るなど白咲らしくもない。だが、どうしてもと言うのなら…。


「あの…、一緒にバイトしない?」


「……バ、バイト…?」


別に期待してたわけじゃ無い。決して。それにしても、と考えを切り替える。バイトか。まだ自分達の年齢じゃあまりいい所で働ける気もしないし、そもそも疲れる。あとそんなに金には困っていない。いや、まさか…


「おい、そのバイト、どれぐらい稼げるんだ?」


「時給とかじゃなくて、一日働くと…、30万…、ぐらい」


「なっ……」


ここで止めることが出来ていれば、自分の人生は変わらなかった。白咲の人生も変わらなかった。だが、白咲に限って遊ぶ金欲しさにこんな高額なアルバイトをする人間では無い事は百の承知だ。


「お前、金に困ってんのか…?」


「……うん」


小さく頷く白咲に、軽く衝撃を受けた。いつも笑みを絶やさなかった白咲がこんなに弱々しく見えるのは初めてのことだ。白咲から用紙をひったくるようにして奪い取り、舐めるように内容を確認する。条件が異能力者と非異能力者のペア。一日カプセルの中で眠るだけでお互いに30万。つまり計60万。かなり危なそうだが、白咲を助けれるのならやってみる価値はある。最悪金を貰えなかったとしても、寝るだけのバイトなのだ。ローリスク極まりない。


「…分かった、手伝ってやる。俺は金に困ってないし、20万そっちに回してくれて構わん」


「えっ…、流石にそれは…」


「じゃあ手伝ってやらねぇぞ」


「…ごめんね、変な話に付き合わせちゃって」


本当にその通りだ。怪しいことこの上ない。条件にある異能力者と非異能力者という文字も気になる。まぁ、何かあれば警察に連絡すれば良いだけの話だ。おまけに疲れそうに無い。やる価値はあるのだ。その日はそう言い聞かせなければ落ち着いて寝ることもままならなかった。


「…おい、本当に大丈夫なんだろうな、これ」


「分かんないけど、多分大丈夫だよ」


数日後、二人がアルバイトとして訪れたのはとある研究施設。「パラレル」とかそんな感じの名前だったはずだ。そして奥の方まで案内され、二つのカプセルの中に横たわっている。「蓋、閉めますね」と言うスタッフの言葉と同時にカプセルの蓋が閉められる。とは言っても息苦しくはない。それどころか、気分がふわふわして、気持ち良くなってくる。


「…や、やばい…、眠気が…」


まずいと思ったがもう遅い。睡眠薬か何か。これから一体何されるのか知らないが、まずい予感しかしない。こんな所で無理矢理眠らされるとかなり危なそうだが、既に体に力は入らず、意識が遠くなってくる。



「…こ、ここは……」


次に隼人が目を開けた時には、そこはカプセルの中では無かった。病室らしい場所の、ベッドの上。そして目を覚ました隼人に気づいたスタッフが近づいてくると、封筒を手渡してくる。


「はい、お疲れ様でした。これが報酬の30万円です」


「あ、ありがとうございます」


受け取ると同時に封筒を開けて中身を確認する。多分本物だ。本当に寝るだけで30万円が手に入った。でも一体何をされたのだろうか。気になるが、それを教えてくれるのならそもそも何も言わずに睡眠薬なんて使わないだろう。ここは大人しく金を持ってここを出るのが優先だ。


「出口は分かりますか?」


「大丈夫です。多分」


「そうですか。では、これで失礼します」


やたらと丁寧な口調のスタッフはそれを言い残し、部屋を出て行ってしまった。その日はそのまま家に帰った。白咲がどうして一緒にいなかったのかは気になるが、目を覚ますタイミングなんて個人差が無い方がおかしい。多分隼人より早く起きたのか、まだ寝ていたのか。まぁ明日聞けば良いか、なんて考えていた。だが、それから五日間、白咲天音は学校に来なかった。

書き溜めに余裕があったので一気に2話更新させていただきました。

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