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異能戦線 −宝石の四戦士編−  作者: 青色蛍光ペン
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10 五色再戦

「よく集まった君たち。今回のミッションについては私から説明させてもらう」


トリニティの研究施設には、今現在隼人と五色とブレインの三人が集まっていた。


「まず、これを見るんだ」


そう言いながらブレインは手に持っているUSBを隼人に手渡す。


「おう、見たぞ」


「まぁ、見た目は普通のUSBだ。だが、その中身はかなり危険なものでね、一度コンピュータに差し込めば、その中身のデータを全てズタズタにしてしまうほどに強力なウイルスが入っている」


「…なるほど、準備ってこれのことだったのか」


「そうだ。まぁもちろんあっちのデータが手に入った時のことを考えてウイルスの治療プログラムが入ったUSBも別に用意してある。時間をかけたのはむしろこっちの方さ」


「で、結局ボク達は何したらいいの?」


説明を聞くのに飽きたのか、いつも通りの調子で五色が言葉を挟むと、ブレインはそれに対して簡潔に説明する。


「そうだね。まず、パラレルの研究施設に乗り込む。とは言っても以前の研究施設ではなく、本命と思われる地点のものだ。そして、こいつをメインコンピュータに差し込む。以上だ」


「…おい、本当に説明それだけなのか?」


ブレインが説明を終えてしばらくの沈黙の後に隼人が口を開く。いくらなんでも簡潔すぎやしないだろうか。


「コンピュータがどうこう言った説明は素人には難しすぎるし、パラレルの本拠地の内部図は無い」


「敵の情報は?」


「前話した通りだ」


「なら仕方ないね」


「おい!」


あっさりと引き下がる五色に思わず食い下がる。だが、そんな隼人の顔を一瞥すると、突然ずいっと顔を近づけ、淡々と述べる。


「彼が情報を持ってないんだったら持ってないんだよ。分かる? つまりボクらはこの無謀な作戦に無謀な状態で挑む以外に選択肢は無いって事だ。確かにキミとブレインが顔を合わせたのはつい最近の事だ。だから彼を信用できないのは重々承知してる」


「お…、おぉ」


珍しくよく話す五色に圧倒され、言葉を失う。それを確認するなり五色は顔を話し、今度はいつもの口調で話を続ける。


「ま、それでもブレインは凄い。正直ボクも彼のことはよく知らないけど、凄い人だというのは確か。だからこの作戦も、彼を、いや、ボクの事も信じて一緒に来て欲しいんだ」


「…お前がそう言うのなら…、よし、分かった。一発あいつらに痛い目見せてやろうぜ」


「あー、盛り上がってるところに水差すようで悪いんだけど、君達のミッションにはおまけのようなものも含まれている」


「…おまけ?」


「そう、おまけ。白咲天音の体だ」


「なっ…! もし連れてかれる事が出来たら、治るのか!?」


「あぁ、もちろんだ。設備はパラレルに劣るが、トリニティでは一応人命救助やら新薬開発やらの研究が主に行われている。能力関係の事も、医療の応用が効くかもしれないと思って念のため頭に入っている。…つまりだ、大きな目標としてはパラレルのコンピュータを全てウイルスで感染させる。第二目標として、白咲天音の体の奪還だ」


「…よし、そうと決まれば行くぜ…! ブレイン、場所を教えてくれ」


「もちろんだ。場所はだな…」



こうして、隼人の対パラレル作戦は始まるのであった。こちらは隼人と五色の二人。それに対してパラレル側はコードδ、蒼神、紅原、そしてエメラルドと呼ばれるアーチェリーを扱う少女と、トパーズと呼ばれる剣を扱う青年。圧倒的に不利な戦いだが、これ以外に白咲を助け出す方法は無い。そう思うと、やるしか無いのだ。午後七時半。作戦は開始された。



午後八時過ぎ。隼人と五色は、小さなビルの前に立っていた。


「…ここで良いんだな?」


「うん。ここのエレベーターの中に隠しボタンがあって、それを使うと地下に行ける。その地下空間がパラレルの本拠地」


「よし、行くぞ」


扉をあけてすぐのエレベーターに乗り込み、足元に敷かれたマットをペロンとめくり、その下に現れた一辺3センチ程の扉を開けると、地下を示すB8のボタンを発見する。


「地下8階にしか行けないのか」


「そうみたいだね。でもこれはかなり危ないかもしれないね…」


「なんで危ないんだよ」


「待ち伏せだよ」


「待ち伏せ…か」


考えてみると、一つの入り口しかなく、侵入者がそこからしか入れないと分かっていたら、そこを潰せばいいのだ。こんな単純な事すら浮かばなかったとは、流石の隼人も緊張しているのかもしれない。


「じゃあどうするんだよ。ここで撤退か?」


「いや、正々堂々とここからエレベーターで入るよ。確かに待ち伏せされるのは危ない。でも、確実に待ち伏せられている場所を分かってて通過する場合、待ち伏せはあまり有効な戦術とは言えなくなる。それに、パラレルの連中よりもボク達の方が単体戦力は上なんだしね」


「…お前、結構な自信家なんだな」


よく分からない人物だと思っていたが、いざ一緒に行動してみると、ブレインが彼を信頼している理由も分かる気がした。「じゃあ行こうか」と五色の号令の下、エレベーターに乗り込み、地下8階へと向かう。ポーン、と軽快な音と共に8階に到達し、扉が開くと、そこに待ち構えていたのは十人ほどの銃を構えた特殊部隊と思われる男たち。


「おい、侵入者! そこを動くな! 両手を上げ…」


しかし、特殊部隊の男はそれを言い切る前に床に倒れこむ。その他9人も同じく倒れる。


「随分と生ぬるい歓迎だね。電池一本で壊滅する特殊部隊なんてさ。エレベーターを爆破するぐらいの勢いが無いと、ボクは止められない」


「電池…?」


後の言葉に、気絶している特殊部隊の足元に転がっている電池だったと思われる物体を足でつつく。真っ黒に焦げていて、それはもう電池の役割を果たしてはくれそうにない。


「ボクの手にかかれば、電池だって武器に変える事ができる。…無駄話はやめて、さっさと進もうか。もうあの四人組が動き出していてもおかしくない」


「そうだな。さっさとコンピューターにこれ差し込もうぜ」


手元にあるUSBの感触を確かめながら奥地へと進む。特に何事も無く、下階に続く階段を発見し、地下9階へと降りる。狭い廊下を歩き、他のものと比べるとやや大きめの扉を開けると、そこには真っ白で広い空間が広がっていた。そして、部屋の中心には二人の人物。


「…来たか。黒崎隼人」


「今回こそ、ぶった切ってやる


蒼神と、トパーズと呼ばれる剣を持つ青年。二人とも既に武器を構え、いつでも戦闘に入る事ができるようだ。


「戦う前に、そこの剣持ってる人の名前教えて欲しいんだけど、いい?」


「あ? 俺は黄山雷牙きやま らいがだ。そんな事聞いて何になんだよ」


「いや、特に。倒す敵の名前ぐらいは知っとかないと、って思ってるからね」


「倒す? おいおい、笑わせんなよ? お前戦闘要員じゃねぇだろ?」


「黄山、油断はよせ。奴は強い…!」


余裕そうに剣を構える黄山とら裏腹に、蒼神は緊張感を高める。蒼神は五色の能力について知識がある。だからこそ最初に潰しにきているという面もあるのかもしれない。


「黒崎クン、君は先に行きなよ。ボクもすぐに追いかけるからさ」


「でも、ここで俺が抜けると2対1になる」


「…黒崎クンは分かってないね。この先にも残りの二人が待ち構えてるはずだ。キミも2人相手で戦わないとダメなんだよ?」


「だが、2対2ずつで戦って、確実に倒した方が良くないか?」


「いや、それだと遅すぎるんだよ。もし逃げられでもしたらどうするの?」


「…それは分かってるが…」


「いいから、行きなよ。ここでさっさと終わらせて、キミと合流して次の2人にはこちらも2人で挑む。これで文句ないでしょ?」


「…分かった。早く来いよ」


会話を終え、二人の奥の扉に目をやる。追い風を起こして走る速度を上げて一気に扉に辿り着ければ問題ないのだが、果たしてあの二人はそれを許してくれるだろうか。


「いや、きっと五色がなんとかしてくれるか…」


五色の方をちらりと見ると、こくりと頷いてくれる。隼人も小さく頷き返すと、それを合図にするかのように五色はポケットから取り出したクラッカーの糸を掴む。


「走りながらでいい! 耳を塞いで!」


その言葉を聞いて、とっさに耳を塞ぐ。それは蒼神と黄山も同じだった。おかげで、二人とも武器を地面に落とし、隼人がドアにたどり着く一瞬前に、クラッカーが鳴らされた。武器変創によって生まれ変わったクラッカーで鳴らされる音は、耳を塞いでいてもなお、頭を鈍器で殴られたかのような衝撃を三人に与える。だが、そのお陰で、隼人はドアを開け、廊下に飛び出る。それを二人は武器を拾って追いかけようとするが、既に二人の前には五色が立ちふさがっていた。


「隼人君に借りがあるわけでもなければ、キミ達に恨みがあるわけでない。でも、パラレルを潰すために、キミ達はボクが潰さないといけない…」


そして顔を上げると、その右手にはカッターナイフが握られていた。カッターナイフは途端に武器変創の影響を受けて巨大化し、大きな剣となる。


「さっきからやけに余裕ぶってるが、自分の状況分かってんだろうなぁ!?」


それを見て、黄山がトパーズに高圧電流を流しながら斬りかかる。カッターナイフの刃で受け止めるが、たちまちトパーズはそれを焼き切っていく。


「おらおらぁっ! その自慢のカッターナイフもすぐにスクラップにしてやるぜ!」


「よし、そのまま抑えてろ」


背後から声が聞こえるのと同時に、ゴウ、と風を切る音が迫ってくる。カッターナイフから手を離し、右手にライター、左手にチャッカマンを持ち、前方向と後ろ方向に火炎放射を放つ。


「あっつ…!」


「くそっ…!」


それを受ける訳にもいかず、二人とも五色から離れる。カッターナイフは元の大きさに戻って地面に落ち、ライターとチャッカマンも燃料が底を尽きる。それらを投げ捨てると、新たにハサミを取り出し、巨大化させる。蒼神はさらに警戒心を強め、黄山は剣の部品を外し、新たなパーツを取り付け、先ほど失ったエネルギーを補充する。


「刀身の冷却に時間がかかる。蒼神、時間稼ぎ、いけるよな?」


「ああ、任せろ。次は外すな?」


「…やれやれ。ここまで道具の消耗が激しいとはね」

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