2.お父様
4歳に戻っていることに気づいた日から今日で3日が過ぎた。
初めは混乱し夢でも見ているのかと思ったが、整理がついた今では全ての事件が起こる前に戻れたことが嬉しくてたまらなかった。
僕には未来に起こることが分かる。
そして一度超級にまで上り詰めた経験と知識がある。
この力があれば、事件を食い止めみんなを助けられるはず…
前世でバルドの手下が攻め込んで来たのは僕が16歳の誕生日を迎えた数日後、つまりタイムリミットは12年だ。
あの時攻め込んできたバルドの手下にはエギナ王国一の実力者_S級下位のベルガー王よりも強い者がいた。
バルド側による一方的な虐殺を防ぐには最低でもS級中位の魔法師が必要だということだな…
コンコン
「シオン様、朝食のご用意が出来ました。レオン様、ナタリー様がダイニングにてお待ちです。」
考え事に耽っていたらいつの間にかそんな時間になっていた。
お父様とお母様をお待たせする訳にもいかないし、続きは食事を終えてから考えよう…
「わかった。今行くよ」
___________________________
ーダイニングルームー
「おはようございます。お父様、お母様。」
ダイニングに入ると、お父様とお母様はすでに席に着き待っていた。
「具合はどうだ?」
眉間に皺を寄せた状態でお父様が尋ねてきた。
前世ではいつも怒った顔のお父様が少し苦手だったのだが、今ではこれが心配している顔だとわかる。
「もう万全の状態まで回復いたしました。ご心配いただきありがとうございます。」
目をしっかり見てニコッと笑うと、お父様は少しびっくりした表情を見せた。
それもそうだ。
前世では恐いからとあまりお父様と目を合わせられず、ましてや笑顔を見せるなんてとてもじゃないが出来なかったからな。
「…そうか…」
お父様はそれだけ言うと顔をそっぽに向けた。
心なしか耳が赤く染まっているように見えたのは黙っておこう。
席につき横を向くとお母様がとても嬉しそうに笑っていた。
「レオンは今、可愛い息子に笑いかけて貰えてとても喜んでいるのよ?…こんなツンツンした顔をしているけど、シオンが懐いてくれないっていつも落ち込んでいるんだから。」
「おい、ナタリー!私はそんなこと言った覚えはないぞ!」
お父様が顔を真っ赤にして叫んでいるが、お母様はふふふと笑っているだけで相手にしない。
少し騒がしい朝食となってしまったが、こんな平凡で幸せな毎日がいつまでも続いて欲しい。
…そのためにはバルドを倒す、それしかない…




