学園祭2
8月の忙しさも抜けないまま、9月も忙しく、更新が遅くなって申し訳ないです。
今回は委員長視点です。
急いで書き上げたので、誤字脱字があれば修正しますので報告ください。
「朱美、交代に来たよ」
クラスメイトの子が私と交代する為に屋台にやってきた。
1時過ぎた位で、客足も少し減ったので交代するタイミングとしてはベストなので彼女と変わる。
花園くんの方を見ると、そちらも簡単に引き継ぎを行っている最中だった。
「花園君を見て、どうしたの?」
私の見ている視線に気づいたのか彼女が私に聞いてくる。
「えーっと…その…」
急に聞かれた質問と花園君を見てたと言うのが恥ずかしくて、返事に戸惑っていると、彼女がニヤニヤ笑みを浮かべながら私を見ていた。
「そっか、朱美って花園君が好きなんだ」
「なっ」
確信を突く彼女の言葉に私の胸はドキドキして、体温が上がっていく感覚がする。
「真っ赤になって、マジか。それなら、3年生の出し物で昼食すると良いよ。」
「うん?どうして」
彼女の進める3年生の出し物で昼食を取ると良い理由とは何だろうか?と思い聞き返した。
「そりゃ行けば分かるよ。私なりの応援って事で。ほら、愛しの王子様が呼んでるよ、行ってきな」
彼女が私の背中を押して、花園君の方へ押す。
押された私を花園君が受け止める形になったのだが、恥ずかしさの余りに押した元凶の方を睨むと、彼女はニヤニヤと先ほどと変わらぬ笑みを浮かべながら、私たちに手を振っていた。
「友達?」
「まぁ…と言うかクラスメイトだよ!」
花園君は彼女の事をあまり覚えていないのか手を叩いて「ああ~」と納得していた。
多分、彼はクラスメイト全員の名前と顔を覚えていない可能性がある。
「って彼女は何って?」
「昼食の場所を教えて貰ったの。教えてもらったからには行ってみたいのでそこで昼食はそこで良いかな?」
その提案に花園君は頷いて、二人で向かう。
「委員長って、もっと普通の店が好きかと思ったけど意外だね」
「あはは…そうかな…?」
花園君と二人で教えてもらった出し物の前で立ち止まってしまった。
【3-1恋人の憩い喫茶】と書かれた看板…嵌められた。
「うーん、恥ずかしいけど入る?」
「…うん」
他の場所に行くのも時間が勿体ないと言うか、花園君の予定もあるので無駄な時間を使わせたくない思いもあるので恥ずかしいけど店舗へ入ることにした。
言った本人の花園君も恥ずかしいのか、頬を掻きながら少し私から視線を逸らす。
「ようこそ、恋人の憩いの喫茶へ。当店は男女問わず、二組のペアーのみの入店になりますが宜しいですか?」
「大丈夫ですよ」
店員の生徒と花園君が会話をしている間に店内を見ると、男同士二人や女同士二人のペアーの席もあり、恋人と言うより、二人ペアー限定の喫茶店の様だった。
まぁ普通に考えて、学園の出し物で、恋人限定の店を出す意味は無いというか、許可が出る可能性が無いと思う。
案内された席へ座ると、花園君と対面する形になる。
注文した料理がすぐに運ばれて二人で食べながら次に行く出し物の話をした。
花園君は村上君の居る、サッカー部の出し物に興味があるのでそこへ向かう事は決まって、そのあとは時間まで適当に見て回る形にした。
「遼。働いてるか?」
「雪か。茶化しに来たのか?」
グランドの一部を使用したサッカー部の出し物は盛況らしくて人が多く居た。
「おっ、委員長も一緒か。二人とも参加するか?うちの出し物」
村上君が私に気付いて、花園君と二人での参加を勧めてきた。
「どんな出し物なんだ?」
「簡単なPKだな。女性はハンデで距離が短いが男は通常の距離からだ。キーパーは1年、2年、3年、レギュラーの4択で5球を蹴って入った点数で景品が貰えるシステムだな。勿論、選んだキーパーで難易度とポイントが変化する。どうだ?面白そうだろ」
村上君の話を聞いて、花園君は少し興味を持ったのか参加することにしたらしい。
私は運動は苦手では無いが、サッカー部を相手にゴールを決めれる自身が無かったので、観戦する側に回った。
「じゃあ、一番良い景品を取ってくるね」
花園君は私にそう言って、村上君からルールの説明を受けに向かった。
花園君の順番になるまで、他の人の挑戦を見ていたが、簡単なランクの1年生でも結構な人がシュートが決まらず、0点言う時が多かった。
女性に対してはハンデとしてキーパーも足しか使用できないルールなので、男性より女性の方が得点を取っている人が多かった。
いつの間にか花園君の出番が来ていた。
挑戦するのはレギュラーらしく、周りの人は「これは無理だろ」などと言っている。
私もそう思うが、村上君は私の隣に来て笑いながら「見てれば分かるよ。」と言いつつ花園君の方を見ていた。
最初の1球目を蹴ると、キーパーはボールの方へ手を伸ばすが、ボールに触れることなくゴール内へ入って行った。
「今のはどうしてキーパーの人は触れなかったの?」
「あれは回転が掛かって無かったから、変化が読めなかったんだよ。雪は技術を見て覚えるのが得意でね。さっきのシュートは俺の得意技で、俺から盗んだんだよ。まぁ俺のに比べてシュートコースが素直で解りやすいのが欠点だが、それでも慣れないキーパーは取れないね」
そのあとも、色々な技術を使ってゴールを決めて、5球中3球はゴールに入っていた。
「流石レギュラーだね。後半はしっかり対応されて同じ手では入らなかったよ。」
戻ってきた花園君は少し悔しそうな口調で話してきた。
「けど3球のゴールは今日の一番の記録でしょ?凄いよ」
「そうかな?そうだ、これ上げるよ」
持っていたサッカー部の出し物の景品を私に渡してきた。
しっかりとした箱で中を開けるとペンダントが入っていた。
「なにこれ…学園祭の景品ってレベルでは無いと思うのだけど…」
高価な宝石などは付いていないが、細工が細かいシルバーのペンダントだったのでかなり驚いてしまい、渡してきた花園君を直視したまま、固まってしまった。
「あー実はそれ、親の会社の試作品で面白そうだから遼に寄付したものなんだよね。って寄付した本人が貰っても仕方が無いので委員長に上げるよ」
そう言って、少し照れくさそうに私の手にあるペンダントを取って、首に付くてくれたのだが、かなりの至近距離で物凄く恥ずかしくなり、視線を足元へ向けてしまった。
「うん、似合うよ。」
「ありがとう。大事にするよ」
まるでカップルみたいなやり取りみたいだけど、私も花園君も恋人同士では無いので、早く普通にこういうやり取りが出来る間柄になりたいなっと思ってしまった。
その後も、花園君のエスコートで色々出し物を回っていたら、約束の時間になってしまったので、クラスの屋台の前で別れる事になった。
花園君が見えなくなったあとに、首からぶら下がる、ペンダントを見て少しニヤけてしまった。




