狼の王2
沢山の方が読んで頂けて、物凄く感謝です。
誤字脱字があれば報告ください。
二人が狼との戦闘を再開すると同時に仲間の救護に向かう。
まずはヒーラーの吹雪から回復を行う。
切り傷が多いが、一番ダメージが大きいのは、吹き飛ばされた際の衝撃と思わしき、左腕全体と左側の脇だと思われる。
脇腹は骨が折れているかも知れないが、回復薬が塗る事が出来ない為、腕と足や右腕にある切り傷に塗り付ける。
一応、処置を終えた吹雪を端へ運んだ後、アヤメに向かう。
「ユエ、お前は動けるのか?」
アヤメは意識をしっかり持ってい居た為、俺に話しかけてきた。
「実はこのアバター少し頑丈で、しかも自己回復能力もあるから時期に全快するよ。それより回復薬を塗るから我慢して」
アヤメは自分で回復薬を塗るから渡してくれればそれで良いので、次の人を見る。
ルナ、サリア、華月で回復薬を塗り、吹雪の居る場所へ運び終えると狼の方に視線を向けた。
リョウとサラは先ほどよりも傷ついては居たが、倒れる事もなく、狼と対峙していた。
『ナカナカシブトイナ』
倒れないリョウたちに少し狼は苦々しく呟く。
「PTが立て直すまで俺たちが耐えないとな」
狼の攻撃を盾で受け止め弾く。
狼が片足を失って力が入れにくくなった事と、リョウがミスリルを使った盾に魔力を流して盾の能力を使用した事で、今の均衡が作られていた。
【ミスリル合金の盾】…ミスリルとその他の金属を上手く合わせて作った耐久性と魔力浸透率の高い盾。魔力を流すことで【防御アップ中】を発動することが出来る。
しかし、この武器のスキルには不便なことがあり、効果は絶大だが使用中は魔力を消費するので、長期戦には不向きという弱点がある。
リョウはタンクでMPをそこまで重視していないので、事前に確認で使用したら5分位が限界だった。
当時よりもレベルが上がっていると思うがそれでも伸びて1~2分だろうと思う。
俺が回復に使用した時間は急いでたがそれでも3~4分使用した為、効果が切れる危険性がある。
みんなが復活しても、タンクの二人が離脱したら問題なので、まずは眷族創造でスケルトン・ナイトを呼び出す。
呼び出すときの消費する魔力量が増えていた。
多分、自身のレベルアップと同時に眷族も強化されるので、強化された分の消費魔力が増えたと思われる。
『我が姫。ご命令を』
現れたスケルトン・ナイトは俺に話しかけてきた。
今までは無言だったが、レベルが上がったことで知性が発生したのか?
頭を下げて跪く、スケルトン・ナイトに命じた。
「あの狼の足止め、出来れば討伐を」
『御意』
俺の命を受けたスケルトン・ナイトは見た目の重装備からは想像も付かない速さでリョウと狼の間に入るとスキルと使う。
『シールドスタン』
『グヌヌヌ』
スケルトン・ナイトは盾を相手に向けて叩きつけると狼の動きが止まった。
『お前たちは姫の元へ一度下がれ。ここは我が受け持つ』
目の前に突然現れた、スケルトンの少し戸惑ったが、彼?の言葉で味方だと判断してリョウとサラはユエの元まで下がった。
『スケルトンゾクガコザカシイ』
『我はただのスケルトンでは無いぞ。姫に使える騎士だ』
狼は硬直状態が解けてスケルトン・ナイトから距離を取る。
狼の素早い動きから放たれる攻撃をスピードに乗りかなりの攻撃力になる事を狼自身が理解しており、距離を取るのが狼の戦闘スタイルである。
単純な攻撃パターンだが、圧倒的な速さはパターンを理解していても反応することが難しく、それから繰り出される攻撃の破壊力に耐えれることも難しく意外と守り難い攻撃方法である。
それに対してスケルトン・ナイトも剣と盾を構える。
狼が動き、瞬時に右爪を振るうがスケルトン・ナイトは盾で受け止め、盾の横から顔を出して噛みつこうとしたら、顎を蹴り上げられ、顔が上を向くと、隙だらけな首にスケルトン・ナイトの剣が突き刺さる。
しかし、堅い毛皮のため、浅くしか突き刺せず、思ったよりもダメージが少ない。
『流石に堅いな』
防御を抜けない狼と毛皮が堅くて、決定打に欠けるスケルトン・ナイトの攻防は激しさを増す。
爪や剣激がお互いにぶつかり合うと、衝撃が生まれて周囲へ波紋の様に広がる。
「すげーな」
スケルトン・ナイトと狼の戦闘を見ながらリョウが次元の違いに言葉を零す。
みんなの回復が済み、リョウの周りに集まる。
「けどこのままだとスケルトン・ナイトは私の魔力消失で消える可能性が高いから、スケルトン・ナイトが消えるまでの間に全力で倒しにかかるよ」
今のスケルトン・ナイトはレベルの高さと知性により、ナイトとしての動きは完璧に近いが、俺自身の魔力を喰らいながら存在している様で、このまま消えてしまうと魔力枯渇によって、再び呼び出すことも出来ずに、最初のようなPT全滅の状態になる気がする。
その為、スケルトン・ナイトがヘイトを持っている今の状態で、みんなで全力攻撃をする方が、勝率が高そうな気がした。
「よっしゃー。次で決めるぞ」
「「「おーー!」」」
リョウの掛け声と共に気合を入れて、俺たちは狼に再び臨んだ。




