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freedomfantasy  作者: 黒猫の手
学園祭編
65/78

狼の王1

あらすじを変更しました。

物語が進む事に変更してまいります。


誤字脱字があれば報告頂ければ修正しますのでよろしくお願いします。

サラとサリアと共に転移するとすでに戦闘が始まっていた。

洞窟の奥に居た狼よりも更に大きな狼が、素早い動きで、リョウに攻撃を仕掛けていた。

前足を左右から引っ掻く様に振るう狼に対して、リョウは盾でそれを受け流す。

直接的なダメージは無いが、振るわれた前足の衝撃がリョウの体を後方へ押していく。

リョウの後ろからアヤメとルナが攻撃を仕掛けるが、体の大きさからは想像出来ない速さで後方へ下がり、攻撃を避ける。

後方へ下がった狼に対して華月が魔法を放つ。

ルナとアヤメの攻撃も避けると予想した攻撃は普通の魔物なら仕留める事が出来たかも知れないが、狼は魔法に向かって吠えると、咆哮だけで魔法を消し飛ばした。


「こいつはやばいな。」

「私とルナの攻撃は避けられるし、華月の魔法は消されるか…」


リョウたちは圧倒的な強さを見せつけられて、愚痴を零す。


「サラ、サリア、私たちはあの狼の背後に回ろう。」

「うむ」

「了解」


二人を引き連れて、狼の背後の草木の中に隠れる。

戦闘で出た、リョウたちの汗の匂いが強いからか、俺たちに気付くことが無く、狼はリョウたちへ攻撃を仕掛けた。

リョウは狼の攻撃を受け流して、また耐えるが、何回か受け流していると、狼が対応してきたのか、瞬時にリョウに近づき、2回攻撃を加えると、盾は力を受け流せずに、リョウの体から離れて、胴体が空いた状態になってしまった。

咄嗟に剣で防御するが、狼の尋常ならざる力を片手で支え切れるわけもなく、弾き飛ばされてしまった。

リョウの無防備な体制を見て、狼は追撃を仕掛けるが、左右からルナ、アヤメがリョウのフォローに入る。

ルナは大きな斧を全力で振り、アヤメはユエと同じく、作って貰った太刀の居合いを放つ。

ルナの攻撃を避ける為に後方へ下がるが、学習するのは狼だけではなく、避ける距離も計算に入れて、アヤメは居合いを放つと、後ろの右足に刃を切り付ける。

毛皮も丈夫で切断する程のダメージを与えられていないが、微かに機動力が落ちたのか、狼は苦々しく歪む。


「ファイアランス」


華月が放つ火属性の魔法が狼に向かう。

細く鋭い火の槍が狼に当たる前に狼はまたもや、咆哮で魔法を消し飛ばす。


「それは囮です。ファイアレイン」


火属性の範囲魔法を唱える。

華月は魔道師として極める事に重点を置き、それに必要なスキルを会得して来た中で、今の戦闘に使用したのが、【詠唱破棄】と【魔力循環】の2種類だ。

【詠唱破棄】は中位の魔法から発生する詠唱を不要として魔法名だけで発動するスキル。ただし、必要になる魔力量が1.5倍になるので、長期戦には不向きである。

【魔力循環】は魔法の発動後の硬直(魔法の再使用)を無くすスキルである。

魔法を放つとそのランクに応じた魔力回復が必要になり、中位魔法でも3~4秒かかる為、地味に優良スキルである。

狼の上空から火の雨が降り注ぎ、流石の狼も上空の魔法を消し飛ばすことが出来ずにダメージを負う。


魔法のダメージで怯んだこのタイミングを逃すことなく、ユエ達も草木から出て攻撃を仕掛ける。


「サラ、サリア、右後ろ足に攻撃を集中して機動力を奪うよ」


俺の指示に応える様に、サラとサリアは狙いの足へ向かう。


「ダンスレッスンで身に着けた動きで切り込みますよ~【剣舞:血桜】」


足や体を存分に動かし、両手の短剣を上下左右に切り付ける。

踊る様に斬るサリアの背後でサラは己の剣を両手で構えて待機している。


「サリア、退け。【パワースラッシュ】」


サリアが引いた所にサラの剣が狼の足に喰らいつく。

毛皮はサリアの攻撃でほぼボロボロの状態になり防御が無い状態の足にサラの剣を受けたが、骨で剣の動きが止まった。


「くっ」


剣を抜こうとしたら、抜けずサラの表情に焦りが見える。

狼は足に食い込んだ剣を上下の筋肉で押さえつけて抜けなくして様で、剣を握ったままのサラに狙いを付ける。


「【抜刀パワースラッシュ】」


洞窟のボスを倒した技、居合い+スキルの合わせ技を、サラの剣の少し下へ狙いを付けて放つ。

太刀を通して、堅い感触が手に伝わってくるが、それも一瞬でそのまま、足を切断した。


『グォォォォ』


自身の足を切り落とされた痛みに雄叫びを上げるが、怯むところか、その雄叫び1つで、こちらが怯むほどの迫力があった。


追撃を行おうとした、リョウたちも動きを止める。


『オレノアシヲキリオトストハ』


足を1つ失っているとは思えない速さで後ろに下がり、俺たち全員を見た。


『ココカラハ、アソビデハナクカリヲオコナウ。』

「プロテクション」


狼の毛皮が輝いたタイミングで吹雪が防御魔法を唱える。


『ウォォォォ』


口から咆哮と共に魔力の塊を俺たちに向かって放つ。


俺たちとリョウたちの間を通って直撃は免れたが、咆哮の衝撃を受けて、後方へ吹き飛ばされる。

木に激突したり、地面に叩きつけられ、俺も含めて、ダメージがかなり受けてしまった。

立ち上がれたのはタンク系のサラとリョウで俺は太刀を杖にして体を支えるので精一杯だった。

膝がダメージでガクガク震える。

自己再生が発動している感覚が体を巡る。


『ホォ、チョクゲキデハナイガ、オレノホウコウヲウケテモタッテクルカ』


明らかに楽し気な笑みを浮かべる狼が目の前に居る。

絶対的強者…魔王級…明らかに目の前の狼の強さが別次元だ。

魔道師系の華月と吹雪、軽装のアヤメ、ルナ、サリアは地面に倒れたまま、動かない。

悲惨な状況に言葉なく、このままだと全滅してしまう恐怖に呆然としていたら声が聞こえてきた。


「しっかりしろ、ユエ。ここは俺たちが時間を稼ぐから、その間にアイテムでも使ってみんなを回復させてくれ」

「私とリョウはPTの盾だ。立て直すくらいの時間は稼いで見せるよ」


狼を見ながら、盾と剣を構えて対峙する二人を見て、自身を奮い立たせた。


(二人は諦めずに時間を稼ぐと言ったんだ。なら、それに応えれるように動かないと)


来る前に作った回復薬を取り出してみんなの元へ向かった。


「狼さんよ。俺たちと遊ぼうぜ」

「この先の仲間の元へは通さないよ」

「オモシロイゾニンゲンヨ」


(立て直すまで二人とも頑張ってくれ)

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