練習
更新が遅くなりましたが、楽しく読んで頂ければ嬉しいです。
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学校が終わり、事務所に内にあるダンススタジオでダンスレッスンを行う俺たち3人。
各自、1曲ずつ新曲を作り、それの振付が決まったので練習をしているのだが、中々難しい。
3人とも、曲のイメージがバラバラで、俺は少し和風なテンポゆっくりなリズムに舞をイメージしたダンス。
沙羅は大人っぽく激しいリズムに、激しいダンス。亜里沙はアイドルらしいリズムに、GIRLS‐HipHOPと言うか、手の振りや足の動きが多いが体の移動が少ない可愛らしさを前面に出したダンスだった。
沙羅の曲のダンスがかなり難しい。
ポジションチェンジのタイミング、動きを合わせる事に加え、間奏は曲が途中で止まる無音でのダンスも強いられて、かなりレベルが高いというか、曲無しはプロでも難しいのでは?と思う物だった。
個々で踊るならまだ行けるが、無音で3人と息を合わせて同時の動きをするのが困難で、学校が終わってから夜遅くまで練習しても身に着けなかった。
「みんな、レッスン中ごめんね。音楽番組の出演が決まったからそれに合わせて、新曲の1つを発表するからその曲のレッスンをメインでお願いね」
俺たちのマネージャーの柚子さんが、ダンススタジオに入って言った言葉に驚愕する。
音楽番組で披露する曲は亜里沙がメインの物にすぐ決まった。
俺と沙羅の物は少し独特で万人受けするのが亜里沙の曲だと思ったし、何より、沙羅の曲と俺の曲のダンスの完成が間に合うか分からないのも決定打だった。
決まった後は振付師の先生と一緒に亜里沙の曲のダンスを練習する。
「亜里沙ちゃん、ワンテンポ遅れてるわよ。沙羅ちゃんは少し腕の振りとか大きくした方が華やかになるから意識してみて、ユキちゃん、ポジション移動の時、目線が足元を見えるわ、しっかり前を向いて無いと不格好よ」
全体的に指摘が入る。基本的な動きが出来る沙羅さんは、更に細かい動きを指摘され、亜里沙は後半に連れての動きの遅さを、俺は動くときの目線を言われた。
「ユキちゃん、目線一つでもファンを意識してるなら逸らさない事よ。もしそのタイミングでカメラに抜かれたら見っとも無いでしょ?」
指摘された部分を意識して最初から最後までの通しを終えて今日のレッスンは終了した。
柚子さんと先生が部屋を出ると、3人で柔軟体操を行いながら雑談をした。
「これって間に合うのかな?」
「私は間に合うと思うがけど?亜里沙は体力さえ付ければ後半、テンポ遅れる事も減るだろうし、ユキの視線も今後のレッスンの回数で何とかなるだろう」
「沙羅さんは細かい動きも何とかなってもう完成してるからね…」
沙羅さんは今日のレッスンで、先生に合格を貰っている。あとは動きを忘れず、俺たちに合わせる練習するだけで、亜里沙と俺が現状問題だった。
「沙羅ちゃん万能すぎる!贔屓だよ」
「万能でも贔屓でもないぞ。私にも苦手なことがあるさ。ただ、ダンスは運動神経と音感が良かったから上手く行っただけさ」
亜里沙を励ますように言っていたが、沙羅さんの苦手な事って何だろう?心当たりが無く、俺たちに気を使った励ましの様に感じた。
「音楽番組の出演の他に、学園祭の仕事もあるらしいが詳しい話は知っているかい?」
俺の後に、沙羅さんと亜里沙にも話をしたのか、沙羅から仕事の内容を聞かれた。
「さぁー?私は沙羅ちゃんと一緒に聞いたけど、その学校ってユキさんが通っている場所だよね?」
「え?」
亜里沙の言葉に俺は少しビックリして変な声を出してしまった。
「この間、プライベートで会ったとき制服着てたでしょ?その制服ってその高校だよね?」
「えーっと、何でわかるの?」
「実は、沙羅ちゃんがその学校へ進学しようと考えてた時に資料で制服が書いてあったのを覚えてて、今回の仕事の学校名とユキさんの学校が結びついた訳ですよ」
沙羅さんが自分と同じ学校へ進学する予定だった事が少し意外な事実だったが、俺が学校で男装して過ごしていると伝えているので、見つかっても平気だが、学校側に二人と接触して【ユキ】だとバレるのが危険なので、行動は慎重にしないと行けない。
学園祭の日は中々、大変そうな予感にため息が零れる。
柔軟体操で、身体をほぐし終えてから、タオルで汗を拭うと横からペットボトルが現れた。
「飲むかい?」
沙羅さん、俺より男前過ぎますよ。
「頂きます。」
沙羅さんからペットボトルを受け取り、蓋を開けて喉へ流し込む。
レッスンで熱した体を冷たい水が内側から冷やされていく感じが物凄く気持ちよかった。
「所で、二人は最近、ログインしているのか?」
ペットボトルの中身を半分ほど飲み終えて一息ついている時に、【freedomfantasy】の話を聞いてきた。
「私は、毎日1時間ほどかな?レッスンで疲れて、そのまま寝ることもあるけど」
「私は最近、全くだね。学校のほうで学園祭の準備とか話し合いもあるし、それ終わってレッスンだから帰ったら寝てるね」
亜里沙も、飲みかけのペットボトルに蓋をして、首に下げているタオルで汗を拭きながら答える。
「私は二人よりもプレイしていて、最近、ゲーム内で面白い噂が流れているのだが多分、ユキが知りたい情報のヒントになると思う」
沙羅が話した噂は少し都市伝説っぽい感じだった。
ベータテスターは正式サービス時に使用していたキャラを作り直す事が出来たのだが、その作り直した人の話で、ベータで使用していたキャラがNPCとして存在していたと言う内容だった。
真実っぽい話なのだが、この噂の都市伝説っぽいと言う理由は、【freedomfantasy】関連のサイトにベータ時のキャラがNPCで居ると発言した人が居ない点だ。
「掲示板で、確認情報や発言者などは居ないか探しているが全く手掛かりがないし、運営にも聞いた人が居るが、「その様な情報は確認しておりません」だって言うのに、自分の過去のキャラがNPCとして存在している噂だけが広まる、興味ないだろうか?」
確かにおかしな話だし、興味もあるが、俺の調べたいことと何が関係あるのだろうか?と少し考えてしまった。
「ユキ、これは私の推測だし、ゲームでは考えられないことだが、多分、アバターは今もあの世界に存在していると私は思っている。」
ダンスの知識が無いのダンスに関するご指摘は少し、お許しください。




