仕事の内容
学園祭編、長くなりそうです。
今月は仕事の休みが固定化されていて、意外と更新回数が多かったです。
今月中に、あと1~2回は更新できれば良いな~と思っております。
放課後、仕事は無かったが、柚子さんのメールが気になったので、車で迎えに来て欲しいと連絡を入れる事、10分くらいで、柚子さんの愛車が校門前に止まった。
「お待たせ~ユキちゃん。」
車から出てすぐに俺に抱きついてくる柚子さん。
「ちょっと、ユキって呼ばないでください。誰かに聞かれたら俺の人生終わります。」
「大丈夫よ。ちゃんと周りを確認して言ってるんだから。それにばれた方が私的には気にしなくても良くなるので楽になるから良いのだけど」
貴方の俺に対する管理が楽になるだけで俺の人生を終わらせるような事は辞めて欲しい。
「男とバレると人気も仕事も減ると思いますよ」
「大丈夫よ。男の子と思うより女の子が男装して通ってると思った方が普通だと思うから」
柚子さんに言われた事が本当に起きそうだと思い、苦笑いを浮かべながら車に乗り込む。
乗り込んで雪がシートベルトを装着したのを確認してから車を発進させた。
「仕事の依頼ってどんな内容ですか?あと学校って何処ですか?」
運転している柚子さんに尋ねると、少し此方を見ながら「詳しい内容は事務所に着いてからね」と言われて仕事の会話は途切れた。
「他の二人も事務所に来るのですか?」
「そうだね。今回は社長自ら説明するからね」
正直、社長は苦手であまり関わりたくない気持ちが強く、少し憂鬱な気分になってしまったので、切り替える為に車内に音楽を流す。
クラシックと言うか、ピアノソロのメロディーが好きで、自身でも色々な楽曲をピアノで弾いて録音する程、ピアノの音が好きな雪は何時も通り、それを流す。
今回は人気ドラマの主題歌シリーズだ。
「これも耳コピ?」
「そうですね。新しい物はそうですが、古い曲に関してはピアノ譜が売っていれば買って弾いてますね」
音楽を聴きながら車を走らせて15分ほどで事務所に着いた。
【スターライトプロダクション】と書かれたビルが目の前にあった。
総勢300名の芸能人を抱えて、上は大御所から下は研修生まで幅広く在籍している。
この300名は社長自ら見て、スカウトしたり引き抜きした人物で、この事務所に着てから花開いた人たちなので、社長に対する恩は凄く強い。
「さて、ユキちゃん。社長室まで行こうか。」
ビルの前に車を止めて、玄関に居た男性に鍵を渡してビルの中に入る柚子さんの後を俺も付いて行く。
ロビーからエレベーターに乗り、最上階の15階へ向かう。
15階のフロアは全体が社長の仕事場になっている。
社長室、会議室、仮眠室、資料室、応接室がある。
社長は仕事人で家に帰ることが少なく、事務所と外回りが基本である。
ちなみに母親の友人で、俺のことも知っている人でもあるが…苦手である。
「社長、失礼します」
「はぁい。入って良いわよ」
柚子さんが扉を開けると、中には女性物のブランドスーツを身に着けた人物が立っていた。
短髪の髪にピンクのカラーを入れた頭部、彫りの深い顔に、真っ赤なルージュ、首から下はボディービルダーの様に鍛えられた筋肉が太く逞しい。
身長も2mは在るんじゃないかと思う程の巨漢なのだが、女物の特注スーツ…そう【スターライトプロダクション】の社長は…おねぇ社長なのである。
「ユキちゃ~ん。相変わらず可愛いわね~」
巨漢をくねくね動かしながら近づいてくる化け…社長に寒気が走る。
「社長、他の二人は?」
「二人には個別に後で話をするわよ。まずはユキちゃんが先」
俺を見ながらウインクする社長に鳥肌が立つ。
「このまま、話するのも疲れるし、適当に座っちゃって」
そう言い、社長は自身の椅子に座り此方を見る。
俺たちが座ったのを見て、仕事内容を話し始めた。
「実はユキちゃんの学校からの文化祭依頼なのよ。初めは断ろうとしたのだけど、貴方の両親と言うかあの子が「面白そうだから許可しなさい」何て言うから、やるしか無いのよね。」
「母にここの仕事の権限あるのですか?」
社長の言うあの子は母で間違いないだろう。
「普通は無いのだけど、貴方の仕事に関しては少し特別でね。ある程度の融通を聞く契約になっているのよ。と言うかそれが移籍条件の一つね。そして、ユキちゃんの幼馴染ちゃんが外堀と言うか、あの子から落として協力者にしちゃったからもう、断れないのよ。」
社長は頬に手を置いて、深いため息を吐く。
多分、この人も母に振り回された人物なのだろうと理解した。
「学校側で校庭に特設ステージを組んで色々とイベントを行うらしいのだけど、ラストに貴方たち【FloralGirls】にライブをして欲しいとの事よ。勿論、貴方の文化祭だから、二人には説明して、ギリギリまでフリーになれるように調整もするし、ばれない様に更衣室も別に作って貰う予定よ。」
「俺に拒否権は無いですよね?」
話を聞くともう、決定事項のような気がしたので聞いてみた。
「そうね。本当は事務所の方で強制した仕事はしたくないのだけど、こっちも契約あるから仕方が無いのよね。お願い、こちらも、しっかりとサポートするから飲んでくれない?」
傍若無人で自分勝手な母が絡んだ時点で断ることは難しいと思うので、事務所の全面的なサポートが約束して在るのなら呑むしかないと思う。
「分かりました。」
「ありがとうね。助かるわ。二人にはこの後、私から説明するから、今日は帰って良いわよ。休みの日にも事務所に足を運んで貰って、ごめんなさいね。ああー帰りに柚子さんと何か美味しい物でも食べて行きなさいよ」
そう言って、社長が柚子さんに封筒を渡す。
「では社長、私たちは失礼しますね」
柚子さんがお辞儀をして社長室を出たので俺も、社長室を出た。
二人が室内を出ると、社長は壁の棚にある写真を見た。
「ふぅ…本当にあの子は面倒な事ばかり言うのだから」
一人になった社長室で自分勝手な友人を思う独り言が静かな室内に響いた。
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